前
山(まえやま)は、
長野県上田市に位置する地区(
大字)です。この地は、国指定
重要文化財である
三重塔を有する前
山寺(ぜんさんじ)があることで知られています。
地理
前
山は、
上田電鉄別所線の塩田町駅の南に広がっています。北は新町、
十人、本郷、東は
古安曽、南は丸子
地域(旧
小県郡丸子町)の平井、西は手塚と隣接しています。
地域の南部には、独鈷
山(標高1266.4
メートル)をはじめとする
山地が連なっており、そこから神戸
川や塩野
川が
扇状地を形成しながら北流し、産
川へと注ぎ込んでいます。産
川は前
山の西側を流れ、手塚との境界となっています。上流には沢
山池があり、
塩田平の灌漑用
水源として利用されています。
地域内には、神戸
川沿いの「東前
山」と、塩野
川沿いの「西前
山」の集落があります。東前
山には前
山寺があり、その奥の院である岩屋堂が神戸
川の
水源に建立され、信仰を集めてきました。また、塩田城の
城下町として発展し、現在では
工場も進出しています。一方、西前
山は塩野神社や中禅寺の
門前町として栄え、塩野池を中心とした
稲作や
養蚕業が盛んでした。
山: 独鈷
山
河川: 産
川
湖沼: 沢
山池、塩野池(
ため池)
歴史
沿革
前
山は、かつて
小県郡前
山村として存在していました。古くは「魔
山」とも呼ばれていたそうです。
鎌倉時代には、北条(塩田)義政によって塩田城が築かれました。その後、
室町時代には信濃村上氏が、戦国時代には
武田氏がこの地を支配しました。
武田氏滅亡後は、
上田城築城に伴い塩田城は廃城となりました。
江戸時代には
上田藩の領地となりました。
寛永15年に東前
山村と西前
山村に分割されましたが、記録上は一括して扱われていました。
明治7年には両村が合併して前
山村となり、
明治22年の
町村制施行により、
山田村、
野倉村、手塚村、
十人村、新町、前
山村の区域が統合され、
西塩田村が発足。前
山は
西塩田村の
大字となりました。その後、
西塩田村は別所村、
東塩田村、
中塩田村と合併して塩田町となり、さらに昭和45年に
上田市に編入。平成18年には
上田市、
真田町、武石村が合併し、現在の
上田市前
山となりました。
(原文に具体的な
人口データが記載されていましたが、最新の情報ではないため、割愛します。)
経済・産業
前
山では、塩野池を利用した
稲作が行われてきました。
江戸時代中期からは
養蚕業が盛んになり、
幕末には
蚕種製造業も発展しました。独鈷
山の
山腹には、
蚕種保存用の風穴が作られました。
明治15年には前
山銀行が設立され、
昭和恐慌後には
果物や薬用ニンジンの栽培が導入されました。昭和40年代以降、東前
山では
ブドウ、西前
山では薬用ニンジンの栽培が広がりました。
また、昭和20年には、現在のオルガン針
株式会社が
東京から
疎開し、前
山に本社と
工場を構えています。
交通
長野県道82号別所丸子線が前
山の北部を東西に走っています。
上田バスの路線バスが運行しており、東前
山地区には「東前
山」バス停、中部には「押出」、「本町」、「宮本町」、「西前
山」、「中原」バス停があります。また、
別所温泉方面からは観光名所を巡る「信州の鎌倉
シャトルバス」も利用できます。
沢
山池の南方には梅ノ木峠があり、
内村[[川]]流域へと続いていますが、未整備の区間があります。
施設
前
山には、
上田市塩田
公民館の東前
山分館と西前
山分館、多目的研修集会施設である前
山会館、マレットゴルフ場、観光施設「塩田の館」、
キノコ料理
レストラン「きのこむら深
山」、
美術館「KAITA EPITAPH 残照館」などの施設があります。
文化施設
塩野神社:西前
山の塩野
川扇状地の扇頂に位置する神社。式内社であり、素佐之男命、大己貴命、少彦名命を祀っています。
武将からの信仰も篤く、
水神としても知られています。現在の社殿は
江戸時代の建築で、
上田市指定文化財です。
前山寺:「未完成の完成塔」として知られる
三重塔(国指定
重要文化財)がある
寺院です。
龍光院:塩田流
北条氏の
菩提寺で、寺紋は
北条氏家紋と同じ「三つ鱗」です。
中禅寺:
中部地方最古の木造建築物で、
本尊などが国の
重要文化財に指定されています。
前
山には、
縄文時代から
平安時代にかけての多くの
遺跡が点在しています。甲田
遺跡、藤の木
遺跡、下城戸
遺跡、検田見
遺跡、道成
遺跡、箱田
遺跡、上神戸
遺跡、立町
遺跡、中島
遺跡、上町
遺跡、下原
遺跡、銀杏木
遺跡、入海道
遺跡、中原
遺跡、宮原
遺跡、塩野間
遺跡、東馬場
遺跡、西馬場
遺跡、沢
山遺跡などが確認されています。
塩田城跡:
鎌倉時代に築かれた
城跡で、
長野県指定史跡です。
峰小屋城跡:近世の
城跡です。
防災
前
山は、
上田市消防団第16分団の管轄下にあります。南部の
山際は
土砂災害警戒区域に指定されており、特に河
川や渓流の上流部、前
山寺と塩田の館の間、龍光院と塩野神社の
山手は特別警戒区域に指定されています。
洪水時には産
川沿いで、沢
山池や塩野池の決壊時には周辺で浸水被害が想定されています。
その他
前
山の郵便番号は386-1436です。
上田市立塩田西小学校と
上田市立塩田中学校が
学区となっています。産
川には大蛇が女性に化けて寺
僧と交わったという伝説があります。独鈷
山山頂には安念坊が暮らしていたという伝説があり、弘法
山には
空海が修行したと伝わる岩屋堂があります。
出身有名人
黒坂黒太郎:コカリナ演奏家、信州上田
観光大使。
脚注
(参考文献および外部リンクは、原文の情報を参照してください。)