劉観 (洪武進士)

劉観（りゅう かん）の生涯：明代官僚の栄光と失墜

劉観（生没年不詳）は、明代の官僚であり、保定府雄県出身です。その生涯は、官僚としての栄光と晩年の失脚という波乱に満ちたものでした。

若き日の官僚としての歩み

1385年（洪武18年）、劉観は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に太谷県丞に任じられ、その能力を認められて監察御史に抜擢されます。1397年（洪武30年）には左僉都御史を代行するなど、着実に昇進を重ねました。しかし、事件に連座して一時的に獄に下るも、すぐに釈放され、1398年（洪武31年）には嘉興府知府として地方に出向します。その後、父の死により辞職し、喪に服しました。

永楽帝の時代での活躍

1403年（永楽元年）、劉観は雲南按察使に抜擢されますが、赴任する前に戸部右侍郎に任じられます。翌1404年（永楽2年）には左副都御史に転じ、当時の左都御史であった陳瑛の残忍さと右都御史の呉中の寛厚さの間で、柔軟な対応を見せ、職務を悠々とこなしたとされています。1406年（永楽4年）には、北京の宮室造営のために浙江での木材伐採を監督し、1407年（永楽5年）には山西の旱魃に対処するため、木材伐採に動員されていた軍民を解散させるなど、永楽帝の信任を得て活躍しました。

1408年（永楽6年）には、礼部尚書に抜擢されるものの、12月には刑部尚書の呂震と官を交代します。罪に問われて皇太子朱高熾に譴責された際には、永楽帝がその処遇を諫めるなど、その才能は高く評価されていたことが伺えます。1410年（永楽8年）には、都督僉事の費瓛が起こした反乱鎮圧に軍事参与を命じられるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

1414年（永楽12年）には罪に問われて刑部の吏に降格されますが、1415年（永楽13年）には刑部尚書に復職し、その後左都御史に転じます。1417年（永楽15年）には河漕の浚渫を監督、1421年（永楽19年）には陝西巡撫に任じられ、官吏の考査監察を担当するなど、引き続き重要な役職を担いました。

晩年の失脚と最期

1424年（永楽22年）、洪熙帝（朱高熾）が即位すると、劉観は太子賓客を兼任し、太子少保の位を加えられ、二職の俸給を受け取ります。しかし、その晩年は順風満帆とはいきませんでした。大理寺少卿の弋謙への攻撃に加担したことが世論の批判を浴び、また、宣徳初年には部下と共に豪奢な宴会を開き、賄賂を受け取っていたことが発覚します。1428年（宣徳3年）、大学士の楊士奇と楊栄によってその腐敗が指摘され、御史の張循理らに財産を不法に蓄えた罪で弾劾されます。劉観とその子の劉輻は逮捕され、弁明を試みるも、宣徳帝の怒りを買い、1429年（宣徳4年）に死罪とされます。その後、楊士奇と楊栄の嘆願により死刑は猶予され、劉輻は一兵士として遼東に流され、劉観も随行を命じられ、その地で客死しました。

まとめ

劉観は、明代の官僚として、その才能を発揮し、多くの要職を歴任しましたが、晩年には腐敗に手を染め、失脚するという悲劇的な最後を迎えました。彼の生涯は、官僚としての栄光と失墜、そして当時の政治腐敗の一端を示すものとして、歴史に刻まれています。

参考文献

* 『明史』巻151 列伝第39

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