加茂儀一

加茂儀一（かも ぎいち）

生涯

加茂儀一は、1899年11月6日に兵庫県神戸市で生まれ、1977年11月7日に78歳で亡くなった日本の科学史学者です。

神戸第一中学校から神戸高等商業学校（現在の神戸大学）へ進学後、東京商科大学（現在の一橋大学）に転学し、1924年に卒業しました。卒業後は三井物産に就職しましたが、後に中央気象台で英語教師を務めました。戦後は、東京工業大学教授、東京社会科学研究所理事長、小樽商科大学学長（1957年～1965年）などを歴任しました。1966年からは関東学院大学教授を務め、その間、日本科学史学会の会長（1964年1月～1970年5月）も務めました。幅広い分野で活躍し、多くの業績を残しましたが、関東学院大学教授在職中に亡くなりました。

人物

加茂儀一は、科学史研究において、広範な知識と深い洞察力を持っていました。技術史、文化史、食文化史など、多岐にわたる分野で研究を行い、その成果は多くの著作として発表されています。また、教育者としても、多くの学生を指導し、その育成に尽力しました。温厚な人柄で、多くの人々から敬愛されました。

親族

加茂儀一の長男である加茂義行は、元富士電気化学に勤務していました。三男の加茂大造は、現代経営学を日本に普及させたことで知られ、財団法人日本マネジメントスクールの代表を務めました。四男の加茂雄三は、ラテンアメリカ政治史研究・国際政治学者で、青山学院大学名誉教授です。このように、加茂儀一の家族は、それぞれの分野で活躍しています。

主な著書

加茂儀一は、数多くの著作を著しており、その一部を以下に紹介します。

『家畜文化史』（改造社、1937年）
『世界文化史』（三笠書房、1938年）
『技術発達史』（商工行政社、1943年）
『ルネサンスとヒューマニズム』（日本評論社、1949年）
『ダ・ヴィンチ』（弘文堂、1950年）
『人類文化発達史』（三省堂出版、1950年）
『世界文化史』全5巻（新評論社、1955年）
『レオナルド・ダ・ビンチ』（講談社、1955年）
『食物の社会史』（角川書店、1957年）
『たべもののおこり』（青葉書房、1957年）
『蒸気機関のおいたち』（青葉書房、1958年）
『世界の文化と人類の進歩』（三十書房、1958年、1963年）
『榎本武揚 明治日本の隠れたる礎石』（中央公論社、1960年）
『モナ・リザの秘密 ダ・ヴィンチの人間像』（日本経済新聞社、1967年）
『日本畜産史 食肉・乳酪篇』（法政大学出版局、1976年）
『騎行・車行の歴史』（法政大学出版局、1980年）
『レオナルド・ダ・ヴィンチ伝 自然探究と創造の生涯』（小学館、1984年）

主な共編著

『近代思想講座』（六和商事出版部、1948年）
『人間の歴史』（中山書店、1955年）
『技術の歴史』（毎日新聞社、1956年）
『世界文化史年表』（三省堂出版、1956年）
『榎本武揚 資料』（新人物往来社、1969年）

主な翻訳書

加茂儀一は、多くの海外文献を翻訳しており、その一部を以下に紹介します。

『社会学の根本問題』（岩波書店、1929年）
『家畜系統史』（岩波文庫、1935年）
『人間と技術 生の哲学に対する一寄与』（三笠書房、1938年）
『栽培植物の起原』（改造社、1941年、岩波文庫1953-58年）
『レオナルド・ダ・ヴィンチ』（冨山房、1941年）
『レオナルド・ダ・ヴィンチの科学』（創元社、1942年）
『ルネッサンス』（みすず書房、1948年、角川文庫1953年）
『タバコ』（白水社、1952年）
『技術の歴史』（白水社、1952年）
『動物社会の歴史 文明と文化におよぼすその影響』（理論社、1957年）
『船舶の歴史』（恒文社、1965年）
『武器の歴史』（恒文社、1965年）
『レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術家としての彼の発展の物語』（法政大学出版局、1974年）

参考資料

故加茂儀一教授略歴・著書・訳書目録「故加茂儀一教授追悼号　経済系」1978年3月
* 加茂儀一先生略歴及び主要著・訳書　道家達将編　石山洋補 「科学史研究 [第2期] / 日本科学史学会編」17(125)1978-03

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