半深成岩

半深成岩とは

半深成岩は、かつて火成岩の一種として、深成岩と火山岩の中間的な性質を持つものと定義されていました。しかし、その後の研究により、半深成岩に分類されていた岩石の中には、深成岩の性質に近いものや、火山岩の性質に近いものなど、多様な成因を持つものが存在することが明らかになりました。そのため、「半深成岩」という言葉は、現在では学術的な分類としてはほとんど用いられなくなっています。

かつて半深成岩と考えられていた岩石は、岩脈や岩床といった脈状の形態で産出することが多いため、脈岩とも呼ばれていました。

主な半深成岩

現在では「半深成岩」という分類は使われなくなりましたが、岩石名として、以下のものは便宜的に使われることがあります。

斑岩
石英斑岩: 流紋岩質ですが、流紋岩よりも石英の結晶（斑晶）が大きく目立つものを指します。
花崗斑岩: 石英斑岩と似ていますが、長石の斑晶も大きく、石基部分の結晶も大きいのが特徴です。
ひん岩: 安山岩質で、安山岩よりも全体的に結晶が大きいものを指します。
ドレライト（粗粒玄武岩）・輝緑岩: 玄武岩質の岩石です。
アプライト（半花崗岩）: 流紋岩質で、有色鉱物をほとんど含まず、結晶が小さいものを指します。
ペグマタイト: 鉱物の結晶が非常に大きいものを指します。
珪長岩（フェルサイト）
ランプロファイア（煌斑岩）

これらの岩石は、かつては半深成岩に分類されていましたが、現在では岩石の組織や化学組成に基づいて、より詳細な分類がなされています。

半深成岩の産状

半深成岩に分類されていた岩石は、以下のような産状でみられることが多いです。

岩脈 (dike、dyke): 地層や岩石の割れ目に沿って、板状に貫入した岩体です。
岩床 (sill、sheet): 地層や岩石の層理面に沿って、板状に貫入した岩体です。
ラコリス（laccolith、餅盤）: 地層中に貫入した岩体が、上部の地層を押し上げて、ドーム状になったものです。

まとめ

半深成岩は、かつては深成岩と火山岩の中間的な存在として扱われていましたが、現在ではその概念はほとんど使われなくなりました。しかし、半深成岩に分類されていた岩石は、現在でも岩石学の研究において重要な位置を占めています。これらの岩石の産状や特徴を理解することは、地球の歴史や地殻変動を解明する上で重要な手がかりとなります。

参考文献

黒田吉益、諏訪兼位『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年、230-271頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助『原色岩石図鑑 全改訂新版』保育社、1987年、33-44頁。ISBN 4-586-30013-2。

関連項目

岩石
火成岩
火山岩
深成岩

外部リンク

* “岩石の分類”. 石の博物館 ([広島大学]]). 2014年12月31日時点の[オリジナルよりアーカイブ。2011年6月6日閲覧。

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