古ウイグル語

古ウイグル語（回鶻語）について

古ウイグル語は、9世紀から14世紀にかけて天山ウイグル王国で話されていたテュルク諸語に属する言語であり、回鶻（かいこつ）語とも呼ばれています。現代のウイグル語とは異なる系統に属し、甘粛省に居住するユグル族の言語である西部ユグル語は、古ウイグル語の後裔にあたります。

歴史的背景

古ウイグル語は、ウイグル可汗国（回鶻可汗国）の滅亡後、その残存勢力が甘粛、トゥルファン、ハミなどの地域に移住した際に、9世紀に古テュルク語から発展して形成されました。これらの勢力は、トゥルファンとハミにおいて天山ウイグル王国を建国し、マニ教や仏教を国教としました。一方、甘粛に移住した勢力は、西夏の一部となりました。

天山ウイグル王国は、モンゴル帝国の時代には属国として存続しましたが、後にチャガタイ・ハン国の征服を受け、トゥルファンとハミはイスラム化されました。その結果、トゥルファンとハミにおいては古ウイグル語は消滅しましたが、甘粛においては生き残り、西部ユグル語として現代にまで伝えられています。

現在「ウイグル語」として知られている言語は、カラハン朝で話されていたカルルク語群の子孫であり、古ウイグル語とは異なる系統に属します。古ウイグル語は、シベリア・テュルク語群に分類されます。

言語的特徴

古ウイグル語は、コピュラ（繋辞）である「dro」を西部ユグル語と共有しています。これは、両言語の関連性を示す重要な特徴の一つです。

文献

古ウイグル語の文献の多くは、敦煌文書の中から発見されており、マニ教や仏教などの宗教に関連する内容が中心です。また、居庸関雲台や莫高窟六字真言碑など、多言語（古ウイグル語を含む）で併記された例も存在します。

文字

古ウイグル語は、ソグド文字から派生した古ウイグル文字を用いて記述されました。この文字は、テュルク語族の言語を表記するために用いられた歴史的に重要な文字の一つです。

関連事項

古ウイグル文字
古テュルク語
西部ユグル語
ユグル族
回鶻
天山ウイグル王国
甘州ウイグル王国

参考文献

Arik, Kagan (2008). Austin, Peter. ed. One Thousand Languages: Living, Endangered, and Lost (illustrated ed.). University of California Press.
Chén Zōngzhèn & Léi Xuǎnchūn. 1985. Xībù Yùgùyǔ Jiānzhì [Concise grammar of Western Yugur]. Peking.
Coene, Frederik (2009). The Caucasus - An Introduction. Routledge Contemporary Russia and Eastern Europe Series. Routledge.
* Tisastvustik; ein in türkischer Sprache bearbeitetes buddhistisches Sutra. I. Transcription und Übersetzung von W. Radloff. II. Bemerkungen zu den Brahmiglossen des Tisastvustik-Manuscripts (Mus. A. Kr. VII) von Baron A. von Stäel-Holstein (1910)

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