喜劇 駅前番頭

喜劇 駅前番頭

『喜劇 駅前番頭』（きげき えきまえばんとう）は、1966年（昭和41年）8月14日に東宝系で封切られた日本の長編映画です。本作は、高度経済成長期に人気を博した「駅前」シリーズの第16作目にあたり、カラー、東宝スコープ作品として制作されました。東京映画が制作を手掛け、上映時間は94分。

作品概要

本作の舞台は神奈川県の温泉地、箱根です。「箱根の山にドッと繰り出す ご存知駅前チーム! 爆笑とお色気の大型喜劇」というキャッチコピーが示す通り、シリーズお馴染みのキャラクターたちが箱根に集結し、巻き起こす騒動を描いています。

物語の中心となるのは、互いに何かと張り合い、対立し合う三軒の旅館です。それぞれの旅館の経営者たちの間で繰り広げられる熾烈な競争や人間関係の摩擦が描かれます。そこに、新しく番頭として就職した一人の常識的な男性が加わることで、事態はさらに複雑化します。彼は、個性豊かな経営者たちの板挟みとなり、周囲の騒動に翻弄される中で、次第に精神的に追い詰められていく様子がユーモラスかつ哀愁を込めて描かれています。

シリーズの特徴であるドタバタ喜劇の要素に加え、本作では『喜劇 駅前音頭』以来となるフラダンスのシーンが盛り込まれており、視覚的な楽しさも提供しています。ゲスト出演者として、宮地晴子さんや、当時人気の漫才コンビであったリーガル天才・秀才が出演し、物語に彩りを加えています。

本作には、シリーズにとって忘れられない出来事が伴いました。第2作『喜劇 駅前団地』以降、長きにわたり「駅前」シリーズの脚本を手掛けてきた脚本家の長瀬喜伴氏が、本作の脚本執筆中に舞台である箱根の地で急逝されたのです。これは、シリーズファンにとって大きな悲しみとなりました。

スタッフ

製作：佐藤一郎、金原文雄
脚本：長瀬喜伴
監督：佐伯幸三
撮影：黒田徳三
音楽：広瀬健次郎
美術：小野友滋
照明：比留川大助
録音：原島俊男
スチル：橋山愈
編集：広瀬千鶴

キャスト

森田徳之助：森繁久彌
伴野孫作：伴淳三郎
坂井次郎：フランキー堺
森田圭子：淡島千景
由美：大空眞弓
染子：池内淳子
藤子：中村メイコ
山本久造：山茶花究
正男：黒川俊哉
青田：立原博
木村：松山英太郎
雪子：北あけみ
よね子：赤木春恵
浩子：宮地晴子
トム一の瀬：三木のり平
メアリー：水上竜子
交換手：旭ルリ
青年：北浦昭義
連れの女：川崎羚子
池上：須賀不二男
千代丸：三神丸枝
ポン太：金子勝美
講師の女史：春川ますみ
ハワイのフラ・チーム：パフ・テ・タヒチアン
ハワイアン・バンド：ナレオ・ハワイアンズ
リーガル天才・秀才

同時上映作品

本作は、同時上映として『てなもんや東海道』と共に公開されました。この作品は、当時人気を博していたテレビ番組を映画化したもので、東宝版としては第1作目にあたります（東映版からは通算第3作目）。香川登志緒の原作を基に、長瀬喜伴、新井一、澤田隆治が脚本を執筆し、松林宗恵が監督を務め、藤田まことと白木みのるが主演しました。

その他

物語の舞台である箱根に関連して、箱根登山鉄道や強羅駅が関連事項として挙げられます。本作は「キネマ旬報」422号（76頁）にも情報が掲載されています。映画に関する詳細情報やレビューは、allcinemaやKINENOTEなどの外部サイトで確認できます。

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