営団07系電車

営団07系電車

営団07系電車は、帝都高速度交通営団（現：東京地下鉄）が有楽町線向けに製造した通勤形電車です。2004年の営団民営化に伴い、東京メトロに継承されました。

概要

1993年3月のダイヤ改正で輸送力増強のため、10両編成2本が川崎重工業で製造され、営業運転を開始しました。1994年には、小竹向原駅 - 新線池袋駅間開業と西武有楽町線延伸に伴い、10両編成4本が日本車輌製造で追加製造されました。

設計コンセプトは「Gentle & Mild」。これは、乗客、乗務員、検修員、製造作業員といった「人」と、車内環境、社会環境といった「環境」に配慮したもので、21世紀を見据えた車両として「人と環境に心を配り、おだやかで上品であること」を目指しました。

同時期に製造された千代田線用の06系と共通の設計思想を持ち、外観・内装・機器などに共通点が見られます。また、同時期に営団各線で旧型車両の置き換えが進められていたため、06・07系と同様の仕様を持つ0x系シリーズが大量に投入されました。

製造費用は1次車で1編成あたり約14億1100万円、2次車で約14億1980万円でした。

車両概説

車体

外観デザインは「おだやかで、上品な中にアーバン的な雰囲気を持ち、長くお客様に親しまれること」をコンセプトとしています。車体はアルミ合金製で、側面は屋根を高くした張り上げ屋根構造です。1次車と2次車で細部に違いはありますが、基本仕様は同一です。

前面は14度の傾斜をつけ、全体的に丸みを帯びた形状とし、フロントガラスは側面まで回り込む曲面ガラスを採用しました。前照灯と尾灯は丸型で窓下に設置されています。当初は西武池袋線での優等列車運用を考慮して通過標識灯が設置されましたが、同線での使用停止により現在は未使用です。

車体下部には灰色のスカートが設置されています。連結器は密着連結器を使用。有楽町線時代は、非常時に電磁直通ブレーキ車両との併結を考慮し、ブレーキ接続用の空気配管が装備されていました。

カラーリングはゴールドを主体に、白、青、黒の4色を配しています。

側面構造は20m両開き4扉。運転室スペースを広げるため、座席定員配列を4 - 6 - 7 - 6 - 4に変更し、側窓の大きさをそれぞれ異ならせています。連結面側の客用ドア位置も標準より中央寄りになっています。後年、車両間転落防止幌が設置されました。

冷房装置は集中式を各車に1基搭載し、装置キセには車外放送用スピーカーを内蔵しています。有楽町線時代は端部にFRP製のカバーが付いた丸みを帯びた形状でした。装置は日立製作所製の外気導入形インバータ制御方式で、能力は48.9kWです。

車内設備

内装デザインは外観のラインカラーと共通のイメージで、06系の「おだやかで落ち着いた雰囲気」に対し、本系列では「上品で活気あふれる雰囲気」を目指しました。ピンク系のカラースキームは、有楽町線沿線のイメージを反映したものです。化粧板は「ピンクベージュ」をベースに、印象派の油絵をモチーフとしています。床材は外側が「ステラブルー」、中央部が「グレードーン」と「スウィフトブルー」でコーディネートされています。

座席は4・6・7・6・4人掛けのバケットシートで、1人分の掛け幅は450mm。モケットは「ラズベリーレッド」の濃いピンク色に砂目模様が入ったものでした。優先席は東西線転籍後も青地にシルバーライン入りのものが使用されています。

天井高さは2,230mmと従来車両より88mm高く、袖仕切りの握り棒は外側に広がるようにして圧迫感を軽減しています。袖仕切りは荷棚部分まで繋がったタイプで、荷棚前の手すりは端部が曲がっています。袖仕切上部の保護棒には座席モケットと同じ布地が巻かれています。荷棚はステンレス線を格子状に溶接したものです。

天井からのつり手棒受けはアルミ製の中空品で、白色焼付け塗装。つり革は白色の三角形で、優先席部はオレンジ色に変更されました。車椅子スペースは2・9号車に設置されています。

側窓は全て1枚の大型ガラスで、6人掛け部分は下降式です。窓枠はゴールドメッキ仕上げ。カーテンはフリーストップ形です。

客用ドアは複層ガラス構造で、連結面の貫通扉は片開き式。客用ドア、貫通扉ともに室内側は化粧板貼り付けです。妻面窓は設置されていません。

旅客案内設備

正面と側面にLED式の種別・行先表示器を設置。書体は明朝体で、側面のみ英字併記です。東西線転籍後は05系に準じたROMを使用しており、表示内容は同系列とほぼ同じです。

各客用ドア上部にLED文字表示による車内案内表示器（1段表示式）とドアチャイムを設置。東西線転籍後は、乗り入れ先の中央線・総武線・東葉高速線内で固定表示になります。

車外スピーカーによる乗降促進ブザーは、電子音の後に「ドアが閉まります、ご注意下さい」の音声が2回流れます。

自動放送装置を搭載。東西線転籍後はJR・東葉高速線内には対応していません。

運転台

乗務員室は操作性、居住性の向上、前方視野の拡大に配慮した設計です。車内色はアイボリー、運転台計器盤は灰色のデスクタイプで、奥行きは1,900mmと広めに確保されています。マスコンハンドルとブレーキ設定器が別個の縦軸回転式ツーハンドルで、デッドマン装置は装備されていません。

計器盤の配置は有楽町線時代・東西線用ともほぼ同じです。車両情報管理装置（TIS）のモニター画面はブレーキハンドルの右側に斜めに配置されています。警笛は空気笛と電気笛を使用しています。

乗務員室と客室の仕切りには大窓1つと乗務員室扉があり、乗務員室扉は中央寄りに配置されています。大窓にはスモークガラスを使用しています。

走行機器

主回路制御装置にはIGBT素子によるVVVFインバータ制御（3レベル方式）を採用。1次車は三菱電機製、2次車は日立製作所製を搭載しています。1基の制御器で1個の主電動機を制御する個別制御方式で、出力205kWの電動機を16個搭載しています。

空気圧縮機（CP）はレシプロ式のC-2500LB形を3基、パンタグラフは菱形のPT-4322Sを4基搭載しています。

補助電源装置は有楽町線時は三菱電機製の170kW出力DC-DCコンバータを搭載していましたが、東西線転籍後は富士電機製の240kVA出力静止形インバータ (SIV)に更新されています。これらは編成で2台搭載しています。

ブレーキ装置は回生ブレーキ併用の全電気指令式空気ブレーキで、保安ブレーキ、降雪時に使用する対雪ブレーキを設置しています。ブレーキ制御には1両の電動車が2.5両分の回生ブレーキを負担する「1M1.5T新遅れ込め制御方式」を採用しています。

編成中のMT比は4M6Tですが、起動加速度は7000系と同一の3.3km/h/sを確保しています。東西線転籍時に非常減速度を5.0km/h/sに変更しました。

台車

台車はモノリンク式軸箱支持方式のボルスタレス台車で、電動車がSS135形、付随車と制御車がSS035形を使用しています。基礎ブレーキは片押し式のユニットブレーキです。この台車は営団地下鉄における次世代の標準台車を目指したもので、曲線通過性能向上、メンテナンス省力化、軽量化・高粘着化を基本設計としています。

車両制御情報管理装置

03系以来の車両制御情報管理装置（TIS）を搭載し、乗務員の支援や検修時の効率的な運用を可能としています。車両間の伝送線に光ケーブルを採用し、運転台表示器にカラー液晶画面を採用するなど操作性の向上を図っています。

保安装置

落成当初は、有楽町線用のCS-ATC装置と東武東上線用の東武形ATS装置を搭載していました。1998年には西武池袋線乗り入れに伴い、西武形ATS装置を搭載。2002年には有楽町線の保安装置を新CS-ATC装置に更新しました。

改造

東西線転用

副都心線開業に伴い、07系はホームドアに対応できないため、2006年から10000系投入により順次東西線へ転籍し、5000系を置き換えました。転籍改造工事は深川工場の車体更新修繕場で実施されました。

車体色は05N系と同様のスカイブルーを主体としたカラーリングに変更。前面には編成番号が貼り付けられました。冷房装置は三菱電機製の稼働率制御方式クーラーに更新。運転台は05N系に準じた左手操作のワンハンドルマスコンに改造されました。

保安装置は東西線用のものに交換し、JR線用のATS-P装置を搭載。不要となる東武形・西武形ATS装置は撤去しました。列車無線装置も交換し、JR線用の空間波無線装置などを搭載しました。

有楽町線から東西線への輸送は、JR貨物の甲種車両輸送により行われました。

2009年には、東西線の輸送改善のため1次車も東西線に転用されました。

B修工事

2018年には第73編成にB修工事が施工され、行先表示のフルカラーLED化、前照灯の変更、フリースペースの増設、座席袖仕切りの変更、LCD式車内案内表示器の設置などが行われました。

編成組成

東西線と有楽町線での編成組成について解説します。

運用

東西線での運用状況、過去の有楽町線、千代田線での運用について解説します。また、過去には試乗会や撮影会に使用されたこともあります。

その他

10000系に使用される台車の走行試験に07系が使用されたことなどを解説します。

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