地中海地方 (トルコ)

トルコ地中海地方：歴史と温暖な気候が織りなす魅力

トルコ南部、地中海に面した地中海地方は、その温暖な気候と豊かな歴史、そして多様な文化が共存する魅力的な地域です。西はエーゲ海地方、北は中央アナトリア地方、北東は東アナトリア地方、東は南東アナトリア地方と接し、南岸にはキプロスを臨み、南東方向でシリアと国境を接しています。

県構成

地中海地方は、以下の県で構成されています。

アダナ県
アンタルヤ県
ブルドゥル県
ハタイ県
ウスパルタ県
カフラマンマラシュ県
メルシン県
オスマニエ県

気候

この地域は、典型的な地中海性気候に属し、温暖で湿潤な冬と、高温で乾燥した夏が特徴です。冬でも24℃を超える日があり、夏には35℃を超えることも珍しくありません。冬の気温も15℃を下回ることは少なく、20℃程度になることもあります。そのため、冬の一時期を除いて、ほぼ一年中海水浴を楽しむことができます。

経済

温暖な気候を生かした観光業が盛んで、ヨーロッパを中心に多くの観光客が訪れます。地域全体が成長を続けており、他地方からの移住も増加傾向にあります。アダナ県には、トルコ第4の都市であるアダナがあり、その周辺のチュクロワ平野では、小麦などの農業が盛んに行われています。

歴史

古代ギリシャ時代には、現在のメルシン県とアンタルヤ県の県境付近を境に、東側がキリキア、西側がリュキアと呼ばれていました。リュキアには先史時代からリュキア人が住み、インド・ヨーロッパ語族の言語を使っていました。一方、キリキアはアナトリア半島では珍しい平野地域であり、古くから東西の交通の要衝として、シルクロードの一部にもなりました。そのため、キリキアは古代から様々な勢力によって支配され、1516年のマルジュ・ダービクの戦いでオスマン帝国の支配下に入るまで、支配者が頻繁に入れ替わりました。

アナトリアで興ったヒッタイト帝国の滅亡後、この地域はギリシアやペルシアなどの支配を受け、紀元前2～1世紀にはローマ帝国の属州となりました。この時代には海賊の拠点として知られ、ユリウス・カエサルが海賊に拉致されたという逸話も残っています。現在のハタイ県は、歴史的にはシリアに属する地域ですが、この地にあるアンティオキア（現・アンタキヤ）は、ローマ帝国で3番目に大きな都市として栄え、キリスト教の初期の布教拠点となりました。

ローマ帝国滅亡後は、東ローマ帝国、イスラム勢力、モンゴル帝国などがこの地を支配しました。また、キリキアにはアルメニア人によるキリキア・アルメニア王国が、ハタイ県地域には十字軍国家の1つであるアンティオキア公国が存在しました。16世紀前半にオスマン帝国が勢力を拡大し、この地域はトルコの領土となりました。第一次世界大戦後には一時的に欧米列強の支配下となりましたが、その後はトルコ領土として現在に至っています。

古代から現在に至るまで、地中海貿易の拠点として栄え続けています。

関連項目

トルコの地方行政区画
キリキア
リュキア
トロス山脈

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