基山

基山（きざん）

基山は、佐賀県三養基郡基山町と福岡県筑紫野市にまたがる標高404.5メートルの山です。脊振山地の東端に位置し、北峰（414.1メートル）、西峰、東峰の三つの峰からなります。一般的に「基山」と呼ばれるのは西峰を指します。古代には「基肄之山」と記され、「木山」「城山」とも呼ばれていました。かつては「きやま」と読まれていましたが、明治時代中期ごろまで地元では「坊住（ぼうじゅ）」「城戸坊住」と呼ばれていたそうです。自治体名との混同を避けるため、現在の「きざん」という読み方が定着しました。

歴史

基肄城

飛鳥時代には、大宰府防衛の拠点として基肄城が築かれました。この城跡は現在、国の特別史跡に指定されています。基肄城は中世には木山城として再利用され、南北朝時代には今川了俊が本陣を置いた記録も残っています。山頂付近には、中世の堀切である「いものがんぎ」が残っています。

天智天皇を記念した「天智天皇欽仰碑」が山頂付近に建立され、万葉集に詠まれた「城の山」も基山を指しています。また、大伴旅人の妻の弔問に訪れた石上堅魚朝臣が詠んだ歌も基山に登った際に詠まれたものです。これらのことから、基山は古代から人々に親しまれてきた場所であることがわかります。

伝説

日本書紀には、スサノオが新羅から持ち帰った木の種を筑紫に最初に植えたという記述があり、この筑紫は基山であるとされています。この伝説から、基山は「日本植林発祥の地」とも呼ばれています。

寺社

基山には、古くから信仰を集めてきた神社や寺院も存在します。

荒穂神社

山頂付近にある「霊霊石（タマタマ石）」は、荒穂神社の磐座とされています。荒穂神社の一の鳥居から社殿、そしてタマタマ石が一直線に並ぶように配置されており、古代からの信仰が現代にも受け継がれていることがわかります。

住吉神社

基肄城築城時に作られた南水門の隣接地には、住吉三神を祀る住吉神社があります。この神社は江戸時代に建てられたと考えられています。

新宗教

基山中腹には、中山身語正宗と光明念佛身語聖宗という二つの新宗教の本山があります。これらの宗教は、基山町出身の僧侶である木原覚恵によって創始されました。

自然

基山一帯は脊振北山県立自然公園の一角にあり、豊かな自然に恵まれています。山頂からは、博多湾、高良山、筑後川、大宰府、大野城、有明海などが一望でき、その眺望は圧巻です。また、九州自然歩道の基山コースも設定されており、ハイキングを楽しむこともできます。

登山

基山へは、原田駅から林道を通って登山口まで行くことができます。また、九州自然歩道を利用して、山口地区側からも登山が可能です。

草スキー

基山は草スキーでも知られています。草スキー場は昭和初期から整備されており、昭和30年代から40年代にかけては多くの人々で賑わいました。現在では「草守基肄世界大会」も開催され、国際交流の場としても活用されています。

まとめ

基山は、古代の城跡、伝説、信仰、そして豊かな自然が調和した魅力的な山です。歴史好きにも、自然好きにも、訪れる人々に様々な楽しみを提供してくれるでしょう。

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