大屋駅

大屋駅（おおやえき）は、長野県上田市大屋に位置する、しなの鉄道しなの鉄道線の駅です。この駅は、単なる交通拠点としてだけでなく、日本の産業近代化に貢献した歴史的遺産としての側面も持ち合わせています。また、駅舎内には大屋駅郵便局が併設され、地域住民の生活に密着した存在となっています。

歴史

大屋駅の歴史は、明治時代に遡ります。当時、諏訪地域の養蚕業者は、生糸を輸出するために、甲州街道を経由して甲武鉄道の八王子駅まで陸送していました。しかし、1888年（明治21年）に信越本線が開通すると、和田峠を越えて長久保宿を経由し、同線の田中駅まで輸送するルートに切り替えました。

しかし、諏訪地域から田中駅までは距離があり、不便であったため、諏訪地方の養蚕業者や地域住民は、より利便性の高い駅の設置を求めました。その結果、日本初の請願駅として、1896年（明治29年）に田中駅 - 上田駅間に大屋駅が開業しました。これにより、生糸の輸出港である横浜までの輸送時間が大幅に短縮され、輸出相場に対応した迅速な出荷が可能となりました。

大屋駅は、日本初の請願駅であるという歴史的意義から、駅前に石碑が設置されています。また、生糸輸送をめぐる歴史的背景から、日本の産業近代化に貢献した産業遺産としての価値が認められ、2007年（平成19年）には、上田市の製糸関連遺産として、信州大学繊維学部講堂などと共に、経済産業省の近代化産業遺産に認定されました。

2024年（令和6年）2月26日には、大屋郵便局が駅舎内に移転し、大屋駅郵便局として新たにスタートしました。これにより、郵便局員が駅業務も兼務する形態となりました。

年表

1896年（明治29年）1月20日：官設鉄道信越線の駅として開業。
1918年（大正7年）1[[1月21日]]：丸子鉄道（後の上田丸子電鉄）が開通し、当駅に乗り入れ。
1925年（大正14年）8月1日：丸子鉄道が上田東駅まで延伸し、スイッチバック方式の交換駅となる。
1956年（昭和31年）4月：上田丸子電鉄丸子線の大屋駅駅舎が完成。改札口が分離。
1969年（昭和44年）4月19日：上田丸子電鉄丸子線が廃止（大屋駅舎は解体され、駐車場となる）。
1984年（昭和59年）
1月15日：貨物取扱廃止。
2月1日：荷物扱い廃止。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅となる。
1997年（平成9年）10月1日：北陸新幹線開業に伴う経営分離により、しなの鉄道に移管。
2003年（平成15年）7月7日：駅待合室内に売店「アットライフ」が開業。
2007年（平成19年）1[[1月30日]]：経済産業省より近代化産業遺産群33に認定されることが公表。
2022年（令和4年）4月：土曜・休日を無人化。
2024年（令和6年）2月26日：郵便局と一体化した駅舎に建て替えられ、大屋駅郵便局（日本[[郵便]]）が駅業務を受託する簡易委託駅となる。

上田丸子電鉄大屋駅

上田丸子電鉄の電鉄大屋駅は、上田丸子電鉄丸子線が丸子鉄道線第1期線として開通した際に、起点駅として新設されました。開業当初から貨物輸送のためにスイッチバック機能が備えられており、国鉄信越本線を介して貨車の受け渡しを行っていました。その後、第2期線として上田東駅まで延伸したことで、スイッチバック方式の列車交換駅となり、線路が複雑化しました。そこで、1959年（昭和34年）には、当時としては珍しい電気式継電装置を導入し、交換作業の効率化を図りました。

電鉄大屋駅のホームは、現在の駅舎待合室の隣に位置していました。改札は、丸子鉄道 - 上田丸子電鉄の初期には共通でしたが、1956年（昭和31年）に独自の駅舎が完成した際に分離され、路線廃止までその状態が続きました。現在、この駅の跡地は、しなの鉄道の直営駐車場として利用されています。

駅構造

大屋駅は、日本[[郵便]]が駅業務を受託する簡易委託駅として運営されています。平日の郵便局営業時間内は、駅舎内にある大屋駅郵便局が駅業務を担当しています。駅の構造は、相対式ホーム（下り線）と島式ホーム（上り線）の2面2線で構成されています。かつては、貨物列車用の中線（JR時代に撤去）や、上り線待避線（しなの鉄道移管後に撤去）も存在していました。

JR時代には、特急「あさま」の一部も停車していました。駅舎は木造で、切妻部分には、大屋の頭文字である「O」をかたどったと思われる飾りが施されています。かつて駅待合室には、駅業務受託業者が運営する売店「アットライフ」がありましたが、2016年 1月までに撤退しています。

駅には発車ベルが設置されています。

利用状況

上田市の統計によると、2021年度（令和3年度）の1日平均乗車人員は710人です。2000年度以降の乗車人員の推移は以下の通りです。

駅周辺

駅周辺には、以下の施設や場所があります。

国道152号
大屋橋
大屋郵便局
ミスダ酒店 - 明治時代の面影を残す蚕種造りの小さな屋根付きの気抜けが特徴的な駅前の酒店です。
海野宿
信州国際音楽村

バス路線

上田駅方面行きのバスとJRバスは、駅ロータリーには入らず、大屋駅前交差点南側の新聞販売店前で乗降扱いを行います。佐久上田線のみ、国道18号線上大屋西交差点東側付近に停留所（大屋北）があります。
その他のバス停は、駅正面左側にあります。

主なバス路線

JRバス関東：姫木平中央、上田駅
千曲バス：丸子駅、鹿教湯温泉、奥鹿教湯（鹿教湯三才山病院）、下沖（土曜休日運休）、下秋和車庫前
東信観光バス：芦田（立科町役場前）
上田市オレンジバス：神川・神科コース（火・金曜日のみ運行、1日2便運行。駅前ロータリー発着）
上田市丸子地域循環バスまりんこ号：東コース（石井バス停、県道大屋芦田線石井交差点東側付近。東信観光バス、または徒歩にて連絡。）

大屋駅郵便局

2024年（令和6年）2月26日に、大屋郵便局が駅舎内に移転し、大屋駅郵便局として新たに開局しました。この郵便局は、地域住民の生活に密着した存在であり、郵便、貯金、保険などの各種サービスを提供しています。また、大屋駅の窓口業務も兼務しており、駅と郵便局が一体となった運営を行っています。

沿革

2023年（令和5年）
2月27日：長野県の賑わい創出への貢献を目的として、郵便局業務と大屋駅窓口業務の一体的な運営を開始することを発表。地方鉄道における駅業務と郵便局の一体運営は、日本[[郵便]]として全国初の事例です。
3月3日：日本[[郵便]]信越支社としなの鉄道が、上記に関する協定を締結。
2024年（令和6年）2月26日：大屋郵便局が当駅舎内に移転し、大屋駅郵便局へ改称。

取扱内容

郵便、印紙、ゆうパック
貯金、為替、振替等
生命保険、バイク自賠責保険、がん保険など
カタログ販売、店頭販売
ゆうちょ銀行ATM
特別企画乗車券等の販売、しなの鉄道に関する照会窓口（インターホン・電話番号）の案内等

隣の駅

しなの鉄道

■しなの鉄道線
観光列車「ろくもん」停車駅
□快速：田中駅 - 大屋駅 - 上田駅
■普通：田中駅 - 大屋駅 - 信濃国分寺駅

かつて存在した路線

上田丸子電鉄
■丸子線（廃止時点）：東特前駅 - 電鉄大屋駅 - 信濃石井駅

脚注

参考文献

老川慶喜『鉄道』（初版）東京堂出版〈日本史小百科 - 近代〉、1996年9月17日。ISBN 978-4490202908。
“経済産業省近代化産業遺産群33～近代化産業遺産群が紡ぎ出す先人達の物語～” (PDF). 経済産業省 (2007年 1[[1月30日]]). 2013年5月16日閲覧。

関連項目

日本の[[鉄道駅]]一覧
近代化産業遺産

外部リンク

大屋駅 - しなの鉄道
* 大屋駅郵便局 - 日本[[郵便]]

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