大派皇子

大派皇子の生涯と業績

大派皇子（おおまたのおうじ）は、飛鳥時代に生きた日本の皇族であり、敏達天皇の三人の皇子の一人です。彼の母は春日老女子で、同母兄には難波皇子や春日皇子が、姉には桑田皇女がいます。彼の生没年については、敏達天皇14年（585年）以前に生まれたと考えられていますが、具体的な没年日は不明です。

大派皇子の名前と混同

大派皇子は、「大俣王」とも記されることがあります。このため、敏達天皇の孫である大俣王と同一人物であるという説も存在しますが、明確な証拠はなく、その名前の使われ方により複数の解釈が生じています。

政治への関与

大派皇子は、舒明天皇8年（636年）に、官人の勤務体系について提案を行いました。彼は、午前の出勤時間を明確にするために、鐘を鳴らして勤務時間を定めるべきだと主張しましたが、この意見は大臣の蘇我蝦夷に無視されてしまいました。彼の提案に対する反応からも、当時の官僚制度の緩さが伺えます。

また、推古天皇12年（604年）には、朝礼において門を出る際の礼儀が定められるなど、朝堂や朝庭を整えた大王の宮での政務が始まっていたことが示されています。記録によると、倭王が別の政を聴くために夜明け前に出勤し、日が昇ると政務を中断するという慣習が見られたことからも、参加する皇族の重要性が認識されていました。

皇子としての地位

皇極天皇元年（642年）には、舒明天皇の大葬の際に、巨勢徳多が大派皇子の代わりに誄を述べました。この時期、大派皇子は王族の中で最年長であり、天皇の叔父としてその役割を果たしていました。軽皇子や蘇我蝦夷の代理人士よりも先に誄を述べたことから、当時の彼の地位が高かったことがわかります。

職務における問題

天武天皇7年（678年）においても、官吏の任命に関する問題が浮上しました。この時、任務になりたくない者が親の死や病気を理由に辞退する者が多く、官人たちの勤務への取り組みが緩やかであったことが指摘されました。大派皇子の時代から半世紀以上経った後でも、このような勤務態度が変わらなかったことは驚きです。

結論

大派皇子は、飛鳥時代の皇族の一人として、所在で重要な役割を果たしました。彼の提案や、朝廷における儀礼制度の整備、そして大葬における役割などが、彼の生涯において重要な位置を占めていました。彼の存在は、当時の日本の政治構造や皇族の役割を理解する上で欠かせない要素です。大派皇子の影響や、その地位を知ることで、飛鳥時代の歴史をより深く掘り下げることができるでしょう。

参考文献

• - 『日本書紀』（四）、岩波文庫、1995年
• - 『日本書紀』全現代語訳（下）、講談社学術文庫、宇治谷孟：訳、1988年
• - 『新訂　魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝　－中国正史日本伝（1）』石原道博：編訳、岩波文庫、1951年
• - 『倭国伝　中国正史に描かれた日本』全訳注、藤堂明保、竹田晃、影山輝國、講談社学術文庫、2010年
• - 『別冊歴史読本　古代人物総覧』、新人物往来社、1996年

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