大炊御門家信 (江戸時代の公卿)

大炊御門家信（おおいのみかど いえこと）

大炊御門家信は、江戸時代後期に生まれ、明治時代初期まで活躍した公卿です。右大臣・大炊御門経久の三男として生まれ、清華家である大炊御門家の27代当主となりました。彼は仁孝天皇、孝明天皇、明治天皇の三朝にわたり朝廷に仕え、激動の時代を駆け抜けました。

生涯

大炊御門家信は、父・経久の三男として生まれましたが、兄二人が早世したため、嫡男として家を継ぐことになりました。文政2年（1819年）に叙爵されて以降、清華家の当主として順調に昇進を重ね、侍従、右近衛権少将、左近衛権中将などを歴任しました。文政11年（1828年）に元服し、天保2年（1831年）には従三位となり、公卿の仲間入りを果たします。

その後、踏歌節会外弁や権中納言を経て、安政元年（1854年）には権大納言に任じられました。安政5年（1858年）には、日米修好通商条約への勅許に反対し、中山忠能や岩倉具視らと共に、廷臣八十八卿の一人として抗議の列参を行い、勅許を阻止しようとしました（廷臣八十八卿列参事件）。しかし、この事件が原因で、井伊直弼による政治弾圧「安政の大獄」に連座することになります。

文久3年（1863年）には、右近衛大将・右馬寮御監に任じられました。慶応3年（1867年）には内大臣、さらに右大臣に就任し、朝廷における重職を歴任しました。

明治元年（1868年）に全ての任職を辞し、政界から引退しました。引退後は京都西殿町北側で静かに暮らしました。彼の功績を称え、子の幾麿には侯爵が叙せられました。

年譜

1822年（文政5年）：従五位下
1823年（文政6年）：従五位上
1824年（文政7年）：正五位下、侍従
1825年（文政8年）：従四位下、侍従留任
1826年（文政9年）：従四位上、侍従留任
1827年（文政10年）：正四位下、侍従留任
1828年（文政11年）：元服、右近衛権少将
1831年（天保2年）：左近衛権中将、従三位
1833年（天保4年）：正三位、左近衛権中将留任
1848年（嘉永元年）：権中納言、従二位
1850年（嘉永3年）：正二位、権中納言留任、閉門差控
1854年（嘉永7年）：権大納言
1857年（安政4年）：安政の大獄に連座し、差扣
1858年（安政5年）：廷臣八十八卿列参事件
1862年（文久2年）：内教坊別当
1863年（文久3年）：敏宮淑子内親王家別当、右近衛大将・右馬寮御監
1865年（元治2年）：内教坊別当・敏宮淑子内親王家別当を辞す、参朝停止を解く
1866年（慶応2年）：徳川慶喜征夷大将軍宣下の上卿、亮陰伝奏
1867年（慶応3年）：内大臣、国事御用掛、右大臣
1868年（慶応4年）：右大臣・右近衛大将を辞す

家族

父：大炊御門経久
母：不詳
正室：伊嘉（松下威久の娘）
長男：経宣
五男：師前（一条実孝の父）
七男：幾麿
* 八男：綾小路家政

大炊御門家信は、公卿として朝廷に仕えながら、激動の時代の中で重要な役割を果たしました。彼の生涯は、日本の歴史における変革期を象徴するものと言えるでしょう。

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