奈良田温泉

奈良田温泉の魅力

奈良田温泉（ならだおんせん）は、山梨県南巨摩郡早川町奈良田に位置し、南アルプスの美しい山々に囲まれた自然豊かな温泉地です。この地域は、古くから登山者に親しまれており、特に北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山への登山口として多く利用されています。近年では、白峰三山を巡る登山を楽しむ人々が、奈良田温泉を訪れることが一般的になっています。

温泉の特徴

奈良田温泉には、二つの異なる源泉があります。ひとつは「女帝の湯」で、ナトリウム‐塩化物-炭酸水素塩泉という泉質を持ち、泉温は42.2℃、pHは8.6を示します。もうひとつは「白根館」に存在する硫黄泉‐ナトリウム‐塩化物泉で、こちらは泉温49.8℃、pH8.8です。このように、奈良田温泉では異なる泉質を楽しむことができるため、多くの訪問者にとって魅力的な選択肢となっています。

歴史と伝説

奈良田温泉には古い歴史があります。伝説によると、天平年間に孝謙天皇がこの地で湯治を行ったとされており、最初は近くの西山温泉を訪れていましたが、さらに良い霊泉を求めて奈良田を見つけたとされています。天皇は、流れの段差が七つあり、そのことから「奈良田」という地名が生まれたと伝えられています。彼は8年間この地で過ごし、村人たちは彼を「奈良王」と呼んで親しまれています。現在では、天皇の住居跡とされる場所に奈良王神社が建立されています。

奈良田集落は1953年に西山ダムが完成した際に水中に沈んでしまいましたが、1977年には温泉の復活を目指して源泉調査が行われ、1978年に新たに温泉が湧出しました。その後、町営の「奈良田の里温泉」として1979年にオープンし、好評を得ています。1997年には、元源泉近くでの掘削が行われ、地下500メートルから新たな湯が発見され、色が変わる神秘の湯として「七不思議の湯」と名付けられました。

温泉街の観光スポット

温泉街は奈良田湖の左岸に位置しており、訪れる人々に多くの癒しを提供しています。「白根館」は宿泊施設として知られていますが、2020年からは日帰り入浴専用の施設となりました。白根館は日本秘湯を守る会に属しており、その伝統を重んじています。また、町営の「女帝の湯」では、近くの宿「秘境冒険民宿山人砦」と提携した日帰り入浴が楽しめます。

アクセス情報

奈良田温泉へのアクセスは、身延線の身延駅または下部温泉駅から早川町の乗合バスを利用することができます。それぞれ約90分と70分の距離です。また、自動車でのアクセスも可能で、中部横断自動車道下部温泉早川ICからは約50分。甲府方面からは国道52号沿いを南下し、上沢交差点から県道37号を進むと簡単にアクセスできます。

ただし、広河原方面へのアクセスにはマイカー規制があり、2005年からは特定の期間（6月下旬から11月上旬）に自家用車の通行が制限されています。このため、広河原へ行く際は、路線バスや乗合タクシーを利用する必要があります。

奈良田温泉は、山々の美しい自然と歴史深い温泉を兼ね備えた、訪れる価値のあるスポットです。

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