守谷藩

守谷藩

守谷藩（もりやはん）は、下総国相馬郡守谷（現在の茨城県守谷市）に存在した藩です。徳川家康の関東入部に伴い、土岐定政が1万石で入封し立藩しました。その後、土岐氏の転封により廃藩となりましたが、堀田氏や酒井氏が領主として守谷に拠点を置いた時代もあります。

歴史

戦国期の守谷領

守谷の地は、古くは「守屋」や「森屋」とも記され、寛政20年（1643年）頃に「守谷」で定着しました。戦国時代には、下総相馬氏が守谷城を居城として周辺地域を支配していました。

永禄10年（1567年）、相馬治胤は小田原北条氏との和睦の条件として、北条氏の庇護下にあった古河公方足利義氏に守谷城を献上し、北条氏に明け渡しました。翌年には北条氏による大規模な改築・拡張が行われ、義氏は実際に一時守谷城に移りました。

天正18年（1590年）の小田原合戦において、相馬治胤は北条方に従って小田原城に籠城し、戦後に領地を没収されました。

土岐氏の統治

天正18年（1590年）9月、菅沼定政は相馬郡に領地を移され、守谷を居所としました。定政は九戸政実の乱への出兵や朝鮮出兵に際して名護屋城に赴くなど、領内経営に注力する余裕はなかったようです。

文禄2年（1593年）には、徳川家康の命により「土岐」に名字を復しました。慶長2年（1597年）に定政が死去すると、子の土岐定義が跡を継ぎました。

定義は慶長7年（1602年）、佐竹義宣が去った後の常陸国に松平康重とともに赴き水戸城守衛の任につき、佐竹旧臣車斯忠の反乱を鎮圧するなどの功績をあげました。慶長3年（1598年）には八坂神社を高野村本宿から現在地（守谷市本町）に遷座しています。

元和3年（1617年）、定義は摂津国高槻藩（2万石）に加増移封となり、守谷は幕府直轄領となりました。

元和5年（1619年）、土岐定義は高槻で没し、子の土岐頼行が跡を継ぎましたが、幼少であることを理由として下総国相馬郡内1万石に減転封となりました。頼行は元和7年（1621年）に荒廃していた愛宕神社を再建し、壮麗な社殿や拝殿を寄進しました。

寛永元年（1624年）には岩槻城守衛を命じられるなど幕府の公務に携わりました。寛永5年（1628年）には1万5000石を加増され出羽上山に移されました。

廃藩の時期

一般的には、土岐氏の転出によって守谷藩は廃藩になったと見なされていますが、土岐頼行が相馬郡内に移されたことをもって、廃藩の時期について異なる見解があります。

• - 元和3年（1617年）に定義が高槻に移封されたことにより廃藩になったと見なす場合
• - 頼行が守谷藩に復帰したとする見解

土岐氏以後の領主

土岐氏の転出後、堀田正俊や酒井忠挙が領主となり、守谷に陣屋を置きました。川嶋建・石井國宏共著『守谷城と下総相馬氏』では、土岐定政・定義・頼行の3代に加え堀田正俊・酒井忠挙も「守谷藩主」の歴代に含めています。

土岐頼行の転出後、旧領は分割され、守谷を含む9000石が旗本伊丹康勝に、1000石が伊丹勝長に与えられました。寛永10年（1633年）には伊丹康勝が大名となり甲斐に移され、守谷は幕府直轄領となりました。寛永15年（1638年）から守谷は堀田正盛領となりました。

堀田正俊

堀田正盛の三男である堀田正俊は、父の遺領から下総国・常陸国内で1万石を分けられ、従前の知行地と合わせて1万3000石の大名となり、守谷に陣屋を構えました。万治3年（1660年）には奏者番に就任するなど幕府官僚として活躍しましたが、寛文7年（1667年）に上野国に移され安中藩主となりました。

酒井忠挙

大老酒井忠清の子である酒井忠挙は、部屋住みのまま下総国・武蔵国・相模国・上野国・常陸国の5か国内で2万石を与えられ、そのうち1万石が守谷周辺に所在したため、守谷に陣屋を構えました。忠挙は守谷領において4回にわたって検地を行い、年貢増徴を図りました。天和元年（1681年）に酒井家の家督を継ぎ前橋藩主となりますが、部屋住み時代に与えられた2万石は収公されました。

守谷城

戦国期の守谷城は、内海あるいは湖沼地帯に突き出した台地上に位置する天然の要害でした。現在では守谷城址公園として整備されています。

城下町・守谷

守谷には江戸時代、常陸国下館から銚子に至る街道が通っており、この街道に沿って小規模ながら町場が発展しました。守谷は在郷町として周辺農村との商品流通の中心地として機能しました。

もう一度検索