安東家忠

安東家忠：戸次・立花両氏に仕えた勇将

安東家忠は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、戸次氏、そして立花氏の家臣として活躍しました。特に、立花四天王の一人としてその名を知られています。また、道雪七家老の第四座にも名を連ねています。

出自

家忠の先祖である安藤秀幸（伊賀守）は、源頼朝から恩賞として安藤氏から安東氏への改名を許され、安東伊賀守と称しました。建久7年（1196年）には、大友能直に付き従って豊後に下向。その子である兵部丞が戸次重秀の所領に居住し、子孫は戸次氏の家臣となりました。

生涯

当初、家忠は豊後国の戦国大名・大友氏の家臣である戸次親家に仕えました。親家からはその才能を高く評価され、家老に任じられます。また、親家の偏諱を賜り「家忠」と名乗り、さらには親家の娘（立花道雪の姉）を娶るという厚遇を受けました。親家の子である鑑連（後の立花道雪）からも重用され、笹丸内双雀の家紋、紀伊介の通称、そして盛高槍12本を拝領しています。

天文23年（1554年）には、大友宗麟の命を受け、鑑連に従い小野信幸と共に菊池義武の謀殺に加担し、宗麟から感状を得ました。弘治3年（1557年）の秋月文種討伐、永禄10年（1567年）の高橋鑑種討伐、永禄11年（1568年）の立花鑑載討伐、永禄12年（1569年）の多々良浜の戦いなど、数々の戦で武功を挙げました。

出陣すること二十余回、その全てにおいて功績を挙げた家忠は、道雪から「武勇絶倫の猛将」と評されました。また、家忠が剃髪した際には、道雪から「雪」の一字を与えられています。

元亀元年（1570年）、鑑連が立花氏の名跡を継ぎ、立花山城へ移ると、戸次氏の家臣たちは藤北に残留する者と立花山城へ移る者に分かれましたが、家忠は立花山城への移転に随行しました。

子息の連実は永禄10年（1567年）に戦死したため、家忠の隠居に伴い、孫の連直が安東家の家督を相続しました。しかし、隠居後も家老として署判に名を連ねています。

『柳河藩享保八年藩士系図』によれば、天正9年（1581年）に高橋鎮種（後の高橋紹運）が子の立花宗茂を立花氏の養子に出す際、立花氏家臣に出した覚書に「安東紀伊入道」の名が見られます。また、同史料に掲載される天正14年（1586年）の連署知行打渡状の家老の連署の中に「安東紀伊入道雪貢」の名が見られます。しかし、当時の立花家老としての安東家は、家督を継いだ若年の連直を、家忠の三男である連忠が後見人として補佐していました。そのため、家忠はこの頃には既に死去していたと考えられています。

安東家忠は、その武勇と忠義によって、戦国時代の動乱を生き抜いた傑物として、その名を歴史に刻んでいます。

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