山川漁港

山川漁港

山川漁港は、鹿児島県指宿市の鹿児島湾入り口に位置する山川湾の地形を利用して作られた漁港です。山川湾は砂嘴によって外海と隔てられているため、波が穏やかで、古くから天然の良港として利用されてきました。砂嘴の形状が鶴のくちばしに似ていることから、江戸時代には「鶴の港」と呼ばれ、現在でも台風接近時などの避難港として重要な役割を果たしています。

歴史

山川港に関する最も古い記録は、1217年（建保5年）の文献にまで遡ります。九州南端に位置することから、南蛮貿易の重要な中継地として栄え、都市を形成していたと考えられています。1561年（永禄4年）には、ポルトガル商人の殺傷事件が記録されています。

戦国時代には、山川港の支配権をめぐり、地域の有力豪族であった指宿氏と頴娃氏が争いを繰り広げました。しかし、1583年（天正11年）頃から戦国大名である島津氏が直接支配するようになり、文禄・慶長の役や1609年（慶長14年）の琉球出兵では、島津氏の拠点港として利用されました。江戸幕府の鎖国政策により南蛮貿易が終焉を迎えた後は、薩摩藩による琉球貿易や砂糖輸送の拠点として機能しました。

幕末には、1837年（天保8年）に起こったモリソン号事件の舞台の一つとなり、1858年（安政5年）には咸臨丸が寄港しています。また、1859年（安政6年）と1862年（文久2年）には、流罪となった西郷隆盛がここから奄美大島や徳之島へ渡りました。

明治時代以降は、沿岸漁業の基地となり、1950年（昭和25年）12月には第3種漁港に指定されました。第二次世界大戦後の食糧不足を背景に、1949年（昭和24年）から1959年（昭和34年）にかけて遠洋漁業によるカツオ漁が急増しましたが、オイルショックや排他的経済水域の設定の影響を受け、漁獲量は1978年（昭和53年）の20,432トンをピークに減少傾向にあります。1984年（昭和59年）には、港の東部が埋め立てられ、水産加工団地が整備されました。この団地には、冷蔵倉庫や冷凍施設、魚肉練り製品の加工施設などが建設されています。

近年では、山川漁港の近くに道の駅山川港「活お海道」（いおかいどう）が開業し、地域の新たな観光スポットとなっています。

地形

山川湾は、約5000年前の火山噴火によって形成されたマールであり、その大きさからカルデラに分類されることもあります。周囲4km、最深部は51mに達し、天然の良港としての条件を備えています。近隣には、池田湖、鰻池、開聞岳など、同時期の火山活動によって形成された火山、カルデラ、火口湖、マールが数多く見られます。

航路

山川漁港からは、以下の航路が利用可能です。

山川・根占フェリー: 山川港 - 根占港（南大隅町）

脚注

参考文献
山川町編 『山川町史（増補版）』 山川町長中村治男、2000年。
関連項目
日本の漁港一覧#鹿児島県
山川湾
山川造船鉄工
外部リンク
* 薩摩の海の玄関口：山川港まちあるき（指宿市観光協会）

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