崔毖

崔毖（さい ひ）：動乱の時代を生きた武将・政治家

崔毖（さい ひ、生没年不詳）は、中国西晋時代末期から五胡十六国時代にかけての人物で、武将、政治家として知られています。彼の家系は名門であり、曾祖父は後漢時代の高官である崔琰です。

幽州から平州へ

永嘉5年（311年）、崔毖は幽州刺史であった王浚の推挙により、東夷校尉に任じられます。その後、平州刺史も兼任することになりました。当時の中国北方は異民族の流入によって社会が大きく混乱しており、崔毖は混乱から逃れてきた人々を積極的に受け入れ、平州を拠点として勢力を拡大しようと試みました。安定から皇甫岌を招聘を試みるも、彼は応じず慕容廆に帰順しています。

司馬睿に帝位を勧める

建武元年（317年）には、豫州牧の荀組、冀州刺史の邵続、青州刺史の曹嶷、寧州刺史の王遜らと共に、晋王司馬睿に帝位に即くよう上表しますが、この時は受け入れられませんでした。

遼東での自立と挫折

大興2年（319年）12月、崔毖は遼東を支配するようになり、事実上独立勢力となります。しかし、その支配は安定せず、多くの人々が崔毖に反発し、慕容廆のもとへ帰順しました。これに対し崔毖は、慕容廆が人々を強制的に引き留めていると考え、慕容部討伐を計画します。高句麗、段部、宇文部へ使者を送り、共同で慕容部を滅ぼし領土を分割するよう提案しました。側近の高瞻は必死に諫めますが、崔毖は聞き入れませんでした。

三国は崔毖の提案に応じ軍を動かしますが、慕容廆は各個撃破を狙い、まず宇文部へ密かに牛肉や酒を贈って懐柔し、高句麗と段部に疑念を抱かせます。疑念を抱いた高句麗と段部は軍を撤退させ、宇文部も慕容皝と裴嶷らの反撃を受け大敗、撤退しました。

高句麗への亡命

崔毖は慕容廆に討伐されることを恐れ、兄の子である崔燾を慕容部の本拠地である棘城へ派遣し、戦勝を祝わせます。しかし、事前に三国の使者が棘城を訪れており、今回の戦が崔毖の企みであることを慕容廆に伝えていました。慕容廆は崔燾を脅し、真相を白状させます。そして崔毖の下へ兵を率いて進軍しました。崔毖はこれを恐れ、家族を捨てて数十騎と共に高句麗へ亡命しました。

高句麗での貢献とその後

高句麗に亡命後、崔毖は4世紀以降の高句麗の国家発展に大きく貢献しました。彼は高句麗に新たな文化をもたらし、国政の整備、軍備拡張、積極的な外交政策を推進したとされています。また、崔毖は朝鮮の崔氏の始祖であるとも伝えられています。

崔毖の生涯は、西晋末期から五胡十六国時代という激動の時代を背景に、独立勢力としての野望、周辺異民族との複雑な関係、そして亡命後の高句麗での貢献といった、波乱に満ちたものでした。

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