邵続

邵続（しょう ぞく）

邵続（しょう ぞく、生年不詳 - 321年）は、中国の晋代に生きた軍人であり、字は嗣祖（しそ）。魏郡安陽県（ぎぐんあんようけん）の出身です。彼の父は散騎侍郎（さんきじろう）を務めた邵乗（しょうじょう）でした。

生涯

邵続は質素な生活を送りながらも、強い志を持ち、経書や史書を幅広く読みました。また、弁舌に長けており、天文にも詳しかったと伝えられています。当初は成都王（せいとおう）司馬穎（しばえい）の参軍（さんぐん）に任じられました。

303年、司馬穎が長沙王（ちょうさおう）司馬乂（しばがい）を討伐しようとした際、邵続は兄弟間の争いを諫めましたが、聞き入れられませんでした。その後、兗州刺史（えんしゅうしし）苟晞（こうき）の参軍となり、沁水県令（しんすいけんれい）に任じられました。

永嘉の乱（えいかのらん）が起こると、邵続は沁水を離れて故郷に戻り、亡命者たちを糾合して数百人を集めました。王浚（おうしゅん）は彼を仮の綏集将軍（すいしゅうしょうぐん）・楽陵郡太守（がくりょうぐんたいしゅ）に任じ、厭次（えんじ）に駐屯させました。また、彼の子である邵乂（しょうがい）を督護（とくご）に任じました。邵続は流浪する民を慰め、多くの人々を帰順させました。

314年、石勒（せきろく）が薊城（けいじょう）を攻略して王浚を討ち、邵乂を捕らえました。石勒は邵乂を派遣して邵続を呼び寄せましたが、孤立無援だった邵続はやむなく石勒に従いました。石勒は邵乂を督護に任じました。

段部（だんぶ）の段匹磾（だんひつてい）が石勒から薊を奪還すると、邵続に手紙を送り、司馬睿（しばえい）（後の東晋の元帝）に帰順するように勧めました。邵続がこれに従おうとすると、部下は子の邵乂の身を案じて諫めましたが、邵続は国家への忠義を優先し、石勒から離反しました。これによって、石勒は邵乂を殺害しました。

石勒は8000騎を率いて邵続を包囲しましたが、邵続は事前に段匹磾に救援を要請していました。段匹磾は弟の段文鴦（だんぶんおう）を救援に送り、石勒は攻城具を捨てて撤退しました。邵続は段文鴦と共に石勒を追撃し、その官吏らを捕らえ、三千家余りを移住させてから帰還しました。さらに騎兵を派遣して石勒の領地の北辺を脅かし、常山を襲って二千家余りを手に入れました。

その後も石勒は邵続の守る楽陵を攻撃しましたが、段匹磾の援軍によって撃退されました。邵続は段文鴦を劉演（りゅうえん）の救援に差し向けましたが、石虎（せきこ）によって阻まれました。

317年、石勒が楽平（がくへい）を征伐に出た隙に、南和令（なんかれい）趙領（ちょうりょう）が広川（こうせん）・平原（へいげん）・勃海（ぼっかい）の数千戸を率いて石勒から離反し、邵続の下に走りました。河間の邢嘏（けいか）も兵100を集めて石勒に反旗を翻しました。

邵続は荀組（じゅんそ）・崔毖（さいひ）・曹嶷（そうぎょう）・王遜（おうそん）らと共に司馬睿に帝位に即くよう上表しましたが、認められませんでした。邵続は兄の子である邵済（しょうさい）に石勒の領地である勃海を攻撃させ、邵済は3千人余りを引き連れて帰還しました。

318年、段匹磾が劉琨（りゅうこん）を殺害すると、劉琨の将兵は相次いで石勒に帰順しました。段末波（だんまつは）は弟に騎兵を与え、段匹磾のいる幽州（ゆうしゅう）を攻撃させました。段匹磾は邵続の下に逃走を図りましたが、石勒配下の石越（せきえつ）に敗れ、再び幽州に戻って守りを固めました。

邵続は元帝により平原楽安二郡太守（へいげんらくあん にぐんたいしゅ）・右将軍（うしょうぐん）・冀州刺史（きしゅうしし）に任じられ、平北将軍（へいほくしょうぐん）・仮節（かさつ）に進められ、祝阿子（しゅくあし）に封じられました。邵続は邵存（しょうそん）や段文鴦に段匹磾の部下を率いさせ、平原に食糧を求めさせましたが、後趙（こうちょう）の石虎に敗れました。

邵続は青州（せいしゅう）に割拠する曹嶷と争い、史存（しそん）らを打ち破られ、屯田を襲われて民を略奪されました。邵続は救援に駆けつけ、曹嶷を逃走させ、邵存や段文鴦を済南（さいなん）の黄巾固（こうきんこ）に駐屯させ、曹嶷を圧迫させました。

319年、段匹磾の兵士は食糧不足のために四散し、薊を離れて上谷（じょうこく）に拠点を移しました。代王（だいおう）拓跋鬱律（たくばつうつりつ）は精兵に上谷を攻撃させ、段匹磾は妻子を棄てて楽陵へと逃亡し、邵続の下に身を寄せました。

320年、段末波が段匹磾を攻撃すると、段匹磾は邵続に救援を要請しました。邵続はこれに応じ、段末波を破りました。しかし、石勒は石虎を派遣して邵続を厭次に包囲させました。また、孔萇（こうちょう）も邵続を攻撃して11の陣営全てを陥落させました。朝廷は王敦（おうとん）の圧力もあって、邵続に物資や兵を供給しませんでした。

321年、石虎が城下で住民を略奪すると、邵続は救援のために出陣しましたが、伏兵によって捕らえられました。石虎は邵続に厭次城の兵を説得させようとしましたが、邵続は城下で邵竺（しょうちく）らを呼び、「汝らは努力自勉し、段匹磾を奉じて主とし、二心を抱くことの無いように」と告げました。

元帝は邵続の子である邵緝（しょうしゅう）に後を継がせました。邵存・邵竺・邵緝らは段匹磾とともに厭次城に籠もって抵抗しましたが、石勒の度重なる攻撃によって疲弊していきました。

石虎は邵続を襄国（じょうこく）の石勒のもとに送りました。石勒は邵続を責めましたが、邵続は堂々と反論し、その忠誠心に石勒は感銘を受けました。石勒は邵続を厚遇し、従事中郎（じゅうじちゅうろう）に任じ、食糧や衣服を与えました。また、邵続の進言により、捕虜にした士人を勝手に殺すことを禁じました。

石勒は邵続の清廉な人柄を高く評価し、しばしば褒め称えました。

321年3月、厭次は陥落し、段匹磾とその弟の段文鴦および邵竺・邵緝らはみな捕らえられました。邵存だけは包囲を突破して南に逃れましたが、道中で賊に殺害されました。邵続もまた、遂に殺害されました。

伝記資料

* 『晋書』巻63 列伝第33

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