嶽山城の戦い

嶽山城の戦い

嶽山城の戦いは、寛正元年（1460年）から寛正4年（1463年）にかけて、河内国（現在の大阪府富田林市）の嶽山城を舞台に繰り広げられた戦いです。室町幕府から反逆者と見なされた畠山義就が、嶽山城に籠城し、幕府の追討軍と2年以上にわたって激戦を繰り広げました。

戦いの背景

畠山氏では、享徳3年（1454年）に家督を巡る内紛が発生。河内・紀伊・越中守護であった畠山持国の後継を巡り、実子の義就と、甥の畠山弥三郎（政久）が対立しました。弥三郎を支持する家臣団は、管領の細川勝元や元侍所頭人の山名宗全の支援を受け、持国を隠居させ、義就を伊賀へと追放しました。

しかし、8代将軍足利義政は、勝元・宗全に対抗するため、義就を味方に引き入れようと画策します。12月には宗全を隠居させて勝元を牽制し、義就を京都に呼び戻して弥三郎一派を没落させました。こうして義政は、畠山氏を自身の勢力に取り込み、親政を進めていきました。

義就と幕府の関係悪化

しかし、義就と義政の関係は次第に悪化していきます。義就は弥三郎の追討を行う一方で大和へ出兵し、義政の許可を得ずに大和国人の争いに介入したことが問題視されました。さらに、長禄2年（1458年）に宗全が隠居から復帰し、勝元ら弥三郎派が勢力を盛り返したことも、義就にとって不利な状況を招きました。長禄3年（1459年）には、弥三郎とその一派である大和国人の成身院光宣・筒井順永兄弟、箸尾宗信が幕府から赦免され、弥三郎の死後には弟の畠山政長が擁立され、義就は一層追い詰められていきました。

嶽山城籠城戦

長禄4年（寛正元年、1460年）5月、紀伊で畠山軍と根来寺が合戦となり、畠山軍が敗北。報復として義就が京都から紀伊へ軍勢を派遣すると、9月16日に幕府から義就に対し、政長への家督交代命令が伝えられました。これを拒否した義就は、4日後の20日に河内へ逃亡。代わって当主となった政長は、閏9月9日に大和へ向かい、10月まで義就派の掃討に尽力しました。家督交代は、勝元の工作と義政の不信感によるものでした。幕府の義就討伐命令を取り付けた勝元は、細川一族や諸大名を河内へ向かわせ、政長・光宣・順永らも河内へ移り、義就は河内南部の嶽山城へ籠城しました。

12月19日、幕府軍による嶽山城攻撃が開始されましたが、義就の抵抗は激しく、攻撃はことごとく撃退されました。1年半後の寛正3年（1462年）5月12日に支城である金胎寺城が陥落したものの、戦果は一向に上がりませんでした。包囲中には長禄・寛正の飢饉が発生し、光宣らと対立していた越智家栄が義就に協力したことなども、戦いが長期化した一因となりました。

寛正4年（1463年）4月15日、ついに嶽山城は陥落し、義就は高野山、次いで紀伊、最後に吉野へと逃れました。幕府軍は京都へ凱旋し、政長は翌寛正5年（1464年）に勝元から管領を譲られました。

戦後の影響

勝元は政長を通して畠山氏を掌握することに成功し、派閥を拡大しました。しかし、勝元と協力していた宗全は勝元を警戒し、寛正6年（1465年）に義就・斯波義廉らと結託して勝元派の打倒に乗り出しました。義就も宗全・義廉の支援を受け、文正元年（1466年）に挙兵・上洛し、政長の追い落としを図りました。これに反発した政長が義就と交戦し（御霊合戦）、応仁の乱が勃発する事態となりました。

嶽山城の戦いは、応仁の乱へと繋がる、室町時代の政治情勢を大きく揺るがす出来事でした。

もう一度検索