広乙級防護巡洋艦

広乙級防護巡洋艦

広乙級防護巡洋艦（こうおつきゅうぼうごじゅんようかん）は、清朝によって建造された一連の防護巡洋艦です。文献によっては水雷巡洋艦や水雷砲艦と分類されることもあります。この級の艦は計3隻が建造され、清国海軍の艦隊において重要な役割を果たしました。

背景

広乙級は、清国において初めて完全に鋼製の巡洋艦として建造されました。魏瀚は、平遠の装備を調達するために欧州を訪れ、イギリスやフランスの最新鋭の軍艦を視察。その結果を受け、フランスの防護巡洋艦をモデルとした艦を自国で建造する提案が行われました。清国内での建造は一隻あたり約45万両で済むため、経費を大幅に削減できる見込みがありました。1886年には、船政大臣の裴蔭森が防護巡洋艦の建造を上申しましたが、議論は難航しました。ある時に、両広総督の張之洞が海軍の近代化を図るために艦の建造を求めたことで、実際の建造が進むこととなります。

艦型と設計

艦の建造は、フランスのコンドル級をモデルに変更された結果、実際に建造された艦はさらに小型化され、全長71.63メートル、全幅8.23メートル、設計排水量は1,000トンとなりました。艦は3本のマストを有し、帆走能力も備えていた可能性があります。特に、3番艦はさらに小型化され、全長71.01メートル、全幅8.02メートル、吃水は3.5メートルとされ、操縦性や復原性において問題が生じることとなりました。

武装

広乙級は、強力な雷装が施されていた一方で、火砲は比較的貧弱でした。艦の先端と後部にそれぞれ2門ずつ、合計4門の魚雷発射管が装備されていました。主砲は、前部にクルップ製の15cm単装砲、後部には12cm単装速射砲を配置し、艦ごとに装備が異なることがありました。特に、広丙艦は火砲の数量を増やされていたため、火力強化が図られました。

装甲と機関

また、装甲は鉄骨鉄皮が使用されており、装甲甲板には1インチ（約25mm）の厚さがありました。主機関としては2つの蒸気機関を搭載し、出力は2,400馬力を予定されていましたが、実際の試験では期待に反して速度が出ず、15ノット（約28km/h）しか達成しませんでした。この出力不足は、小型蒸気機関用の缶が用いられたためと考えられています。

同型艦

広乙級には、以下の同型艦が存在しました。

• - 広乙（1892年竣工）: 1894年に戦没
• - 広丙（1892年竣工）: 1895年に事故にて沈没
• - 福靖（1893年竣工）: 1898年に事故にて沈没

これらの艦はそれぞれの時代において重要な役割を果たしましたが、数々の事故や戦闘によってほぼ同時期に失われてしまいました。これにより、広乙級は清国海軍の歴史の中で短命でありながらも、貴重な存在となったのでした。

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