建元 (漢)

建元（けんげん）は、中国の前漢時代、武帝によって定められた最初の元号です。紀元前140年から紀元前135年までの期間に使用されました。それまでの中国では、皇帝の即位を機に紀年を行っていましたが、元号を定めるという方式は建元が最初でした。

建元制定の背景

古代中国では、皇帝や王といった天子の即位を元年とし、二年、三年と年を数えるのが一般的でした（即位紀元）。前漢の文帝の時代に初めて在位中の改元が行われましたが、年号は定められませんでした。武帝の時代になり、新たな統治方針を示すため、また天命を受けた皇帝であることを示すために、元号を制定する動きが起こりました。

「建元」という元号も、最初からそのように呼ばれていたわけではありません。後になって、元鼎年間に過去の年代に遡って名称を付けることが建議され、紀元前140年からの期間が「建元」と名付けられたと考えられています。

建元 periodの主な出来事

建元の期間中には、前漢にとって重要な出来事がいくつかありました。

2年（紀元前139年）: 張騫（ちょうけん）が匈奴（きょうど）を東西から挟撃するための同盟を結ぶ使者として、大月氏（だいげっし）に向けて出発しました。これは、後のシルクロード開拓につながる重要な出来事でした。
3年（紀元前138年）: 閩越（びんえつ）が東甌（とうおう）を攻撃したため、前漢が救援のために派兵しました。これは、南方の異民族に対する前漢の勢力拡大を示すものでした。
5年（紀元前136年）: それまで使用されていた三銖銭（さんしゅせん）が廃止され、半両銭（はんりょうせん）の使用が開始されました。これは、貨幣制度の改革であり、経済政策の一環として行われました。

西暦との対照表

まとめ

建元は、中国最初の元号として、その後の中国の歴史に大きな影響を与えました。武帝の時代から、皇帝が元号を定めることで、自らの統治を正当化し、新たな時代を切り開くという考え方が定着しました。また、建元の期間中に起こった出来事は、前漢の勢力拡大や経済政策の推進を示すものであり、その後の前漢の繁栄につながるものでした。

参考文献

『史記』（中華書局 1974年）
『漢書』（中華書局 1974年）
李崇智『中国歴代年号考』（中華書局 2004年）

関連項目

* 他王朝の建元（曖昧さ回避）

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