張武

張武（ちょう ぶ、生年不詳 - 1403年）は、明代初期に活躍した軍人です。本貫は潭州瀏陽県にあります。彼は、度量が広く、勇気と力量を兼ね備えた人物として知られ、経書や史書を広く渉猟していました。

生涯

張武は、当初、燕山右護衛百戸という役職に就いていました。1399年（建文元年）に靖難の変が勃発すると、燕王朱棣（後の永楽帝）の挙兵に従い、その軍事的な才能を発揮し始めます。彼は、薊州の攻略や雄県の奪取、月漾橋での戦いなどで、次々と勝利を収め、莫亭を突くなど、その武勇を示しました。また、諸将とともに耿炳文を真定で破るなど、燕王軍の勝利に大きく貢献しました。

1401年（建文3年）の夾河の戦いでは、張武は壮士を率いて先鋒を務めました。敵陣に突撃した後、偽って敗走することで敵軍を誘い込み、追撃してきた敵軍を反転して潰走させるという戦術を用いました。さらに、西水寨を攻めた際には、夜間に道に迷った味方の前軍を救うため、要路に兵を伏せて敵軍を迎え撃ちました。1402年（建文4年）の小河の戦いでは、陳文が戦死する中、張武は決死の士を率いて林間から突出し、騎兵と合流して敵軍を破るという活躍を見せました。

これらの功績が認められ、張武は累進して都督同知に任じられました。永楽帝（朱棣）が即位すると、その功績が改めて評価され、成陽侯に封じられ、1500石の禄を賜り、その位は朱能に次ぐほどでした。この時、陳珪、鄭亨、孟善、火真、顧成、王忠、王聡、徐忠、張信、李遠、郭亮、房寛ら13人が同時に侯に封じられましたが、張武はその筆頭とされました。その後、張武は北平に戻って守備の任につきました。

しかし、1403年（永楽元年）10月、張武は志半ばでこの世を去りました。その死後、潞国公に追封され、諡は忠毅と贈られました。しかし、残念ながら後を継ぐ男子はいませんでした。

張武は、靖難の変において、その勇猛さと卓越した軍事的な才能を発揮し、永楽帝の即位と明朝の安定に大きく貢献した人物として、歴史に名を残しています。

参考文献

* 『明史』巻146 列伝第34

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