徐成

徐成（じょ せい）

徐成は、五胡十六国時代の前秦に仕えた武将です。彼の生涯は、前秦の興隆と盛衰を映し出す鏡のようです。勇猛果敢なだけでなく、その誠実で実直な人柄は多くの人に影響を与えました。

生涯

徐成は、前秦に仕え、将軍としてその名を馳せました。彼の兄は前秦の建武将軍・冀州刺史であった徐盛であり、甥には鎮軍将軍・雍州刺史の徐嵩がいます。一族揃って前秦に貢献したことが伺えます。

370年、苻堅による前燕征伐では、徐成もその軍に加わりました。総大将の王猛は、徐成を敵軍の偵察に派遣しましたが、徐成は期日までに帰還しませんでした。王猛は軍法に従い徐成を処刑しようとしましたが、建武将軍の鄧羌が必死に助命を嘆願しました。鄧羌の徐成を想う熱意と王猛の器の大きさを示すエピソードです。

渭原での前燕との戦いでは、徐成は鄧羌や張蚝らと共に敵陣に突撃し、大いに敵を打ち破りました。この戦いで前秦軍は大勝利を収め、その後の前燕攻略に大きく貢献しました。戦後は射声校尉に任じられ、371年には并州刺史に昇進しました。

同年、仇池で内乱が起こると、徐成は楊安・苻雅・姚萇らと共に仇池を鎮圧しました。373年には、毛当と共に梁州・益州へ進出し、東晋軍を破って成都を陥落させました。これらの功績により、徐成は右将軍に任じられました。

384年、姚萇が前秦に反旗を翻すと、苻堅は自ら軍を率いて姚萇を討伐しました。徐成は竇衝や毛盛らと共に後秦軍を幾度も破りましたが、最終的に姚萇に捕らえられてしまいました。しかし、姚萇は徐成を礼遇し、釈放しました。その後、徐成は秦州刺史に任じられ、杏城を守備しました。

387年、後秦の姚方成が杏城に侵攻すると、徐成は敗れて再び捕らえられました。392年、姚萇が病に倒れると、姚興は姚方成の進言に従い、徐成や王統ら前秦からの亡命者を殺害しました。

徐成の死を知った姚萇は、「徐成らは秦朝（前秦）においていずれも名将であった。天下は未だ定まっておらず、我はいずれそれを彼らに任せようとしていたのに、どうして誅害してしまったのか!」と激怒したと伝えられています。

人物

徐成は、誠実で素直な性格であり、その行動は常に理にかなっていました。しかし、身長は六尺に満たず、容貌は醜かったとされています。

徐成は、前秦の興亡期に活躍した武将であり、その生涯は激動の時代を生き抜いた人々の姿を今に伝えています。

参考文献

『晋書』
『資治通鑑』
* 『十六国春秋』

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