所沢通信基地

所沢通信基地について

所沢通信基地は、埼玉県所沢市にある在日米軍の通信施設です。アメリカ空軍第5空軍第374空輸航空団に所属しており、施設番号はFAC 3049です。日米安全保障条約上は「所沢通信施設」という名称が正式ですが、米軍側は「所沢トランスミッターサイト」と呼ぶことが多いです。基地の面積は978,840平方メートルに及びます。

概要

所沢通信基地は、横田基地や大和田通信所との通信を担うマイクロ波鉄塔、米軍航空機との通信に使用するLPアンテナ、ディスコーン・アンテナ、LTOアンテナなど、様々な通信機器が設置されています。基地の中央部には管理施設や倉庫も併設されています。大和田通信所が受信を主に担当するのに対し、所沢通信基地は米軍機への送信を主な役割としています。無線局としては、日米地位協定に基づき、AFN（米軍放送）と同様に日本の電波法の適用対象外となっています。

2005年の報道では、アメリカ軍の資料から、所沢通信基地を含む世界14ヶ国の通信基地が、アメリカ大統領や国防長官などからの核兵器攻撃実施部隊への「緊急行動命令」を遠隔で伝達する近代化計画に含まれていることが明らかになりました。また、ヘリコプターや垂直離着陸機の離着陸も可能であり、2018年にはV-22オスプレイの飛来も確認されています。

沿革

所沢通信基地は、1945年9月にアメリカ軍が旧日本陸軍の所沢陸軍飛行場を接収したことから始まりました。所沢飛行場の総面積360haのうち、約300haが米軍施設として使用されることになりました。

その後、1952年7月に「所沢兵器分廠」として米軍に提供され、1954年には府中兵器廠の司令部が移転。1955年2月には「所沢兵器廠」に名称が変更されました。1957年3月には「アメリカ陸軍在日兵站補給廠」となり、1961年4月には「所沢補給廠」に名称変更されました。

1962年3月には兵器修理部門が閉鎖され、機能は相模総合補給廠に移転しました。1962年5月には「在日米陸軍兵站センター」となり、1966年7月には兵站補給施設としての機能が相模総合補給廠に移されました。

1967年2月には、大陸間弾道ミサイル探知用のOTHレーダーの設置がアメリカ側から通知され、1968年6月にOTHレーダーが完成し、アメリカ航空宇宙防衛軍の第14通信中隊が運用を開始しました。

1968年には、ベトナム戦争の傷病兵用医療物資の貯蔵管理・補給施設として第602医務隊が運用を開始し、組織名称が「第504医療廠」に変更されました。1971年6月には第一次返還が行われ、医療廠は廃止されました。1974年7月にはOTHレーダーの設置が報道され、同月中に政府が事実を認めました。1975年3月には、アメリカ航空宇宙防衛軍がOTHレーダーの運用停止を決定し、同年6月に撤去が完了しました。

1975年9月には柏通信所から短波無線送信所機能が移転し、空軍通信サービス（AFCS）第1956通信群が運用を開始しました。1976年10月には、「所沢補給廠」から「所沢通信施設」に名称が変更されました。

1978年3月にはマイクロ波塔が設置され、ジョンソン飛行場の最終返還に伴う代替施設としての役割を担いました。1992年4月にはアメリカ空軍の組織改編により管理・使用部隊が変更され、第374空輸航空団の管理下となり、使用部隊は第374通信中隊となりました。

2004年8月には非常用電源の発電機からの燃料漏出事故が発生しましたが、同年12月に汚染土壌の撤去が完了しました。2005年4月には、LPアンテナの老朽化によりLTOアンテナ2基が交換設置されました。2008年以降は、米第5空軍第374空輸航空団所属基地として運用が続けられています。2018年6月にはマイクロ波塔が撤去されました。

返還

所沢通信基地は、1971年6月30日に1,918,831m2、1978年6月20日に97,593m2、1982年6月30日に13,525m2の順序で日本に返還されています。2012年2月には日米合同委員会で東西連絡道路用地の返還が合意され、2020年3月28日に東西連絡道路が開通しました。

現状

1982年の第三次返還以降、所沢市や市議会、基地対策協議会などから再三にわたり返還の要望が出されていますが、返還実現への動きは停滞しています。米軍は通信機能の強化を進めているため、返還に向けた合意は難しいのが現状です。2012年の東西連絡道路用地の返還合意と2020年の道路開通は、わずかながら前進と言えるでしょう。

脚注

在日米軍施設・区域（専用施設）一覧
米軍所沢通信基地について（所沢市役所）

関連項目

府中通信施設
柏通信所
横田飛行場
OTHレーダー
* 在日米軍

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