手稲山

手稲山：北海道の自然と歴史、そしてスポーツの息吹

手稲山は、北海道札幌市西部の札幌市手稲区と西区にまたがる標高1023.1mの山です。アイヌ語の地名「タンネ・ウェン・シㇼ」は「長い断崖」を意味し、山頂南面の険しい崖を指していると考えられています。また、日本語名の「手稲」はアイヌ語の「テイネ・イ」に由来し、「濡れている場所」を意味します。かつては山から流れ出る小川が平野部に湿地帯を形成していたことに由来します。山頂部は細長い溶岩台地で、その形状から「船形山」とも呼ばれていました。

地質と地形：激しい地殻変動の証

手稲山は、中新世の変朽安[[山岩]]、緑色凝灰岩、安[[山岩]]質集塊岩などを基盤とし、その上に第四紀初頭に噴出した安[[山岩]]質の火砕岩と溶岩が堆積して形成されました。北斜面は「北壁」と呼ばれる急斜面で、標高差約450mを一気に下ります。これは山頂の一部崩壊、もしくは地滑りによる滑落崖であると考えられています。1972年札幌オリンピックの聖火台もこの北東斜面の大規模な地滑り跡の一部に位置しています。南側は琴似発寒川による浸食で絶壁を形成しています。

手稲鉱山：黄金と鉱物の宝庫

明治時代から星置川で砂金が採れたことから、手稲山には金が眠ると噂されていました。明治20年代後半、鳥谷部弥平治が金脈を発見し、手稲鉱山として本格的な開発が始まりました。一時成功を収めたものの、その後は苦戦を強いられ、大正時代、昭和時代を経て、三菱鉱業（現三菱マテリアル）が買収し最盛期を迎えました。金、銀、銅、亜鉛、テルルなど、月6万トンもの鉱物を産出し、一時は鴻之舞鉱山に次ぐ日本第2位の産出量を誇りました。金の総生産量は10.8トンに達し、閉山後の1993年には新鉱物「渡辺鉱」も発見されるなど、鉱物収集家にとって貴重な産地となりました。現在も地名や札樽自動車道の金山パーキングエリアなどに、その名残が遺っています。

スポーツとレジャー：ウィンタースポーツのメッカ

手稲山は北海道における山スキー発祥の地であり、1926年には日本初のスキーヒュッテ「パラダイス・ヒュッテ」が建てられました。1972年札幌冬季オリンピックでは、アルペンスキー、リュージュ、ボブスレーの会場として使用されました。オリンピック開催を機にロープウェイが設置され、現在では「サッポロテイネ」として、オリンピアゾーンとハイランドゾーンからなる大規模なスキー場として運営されています。スキー場に加え、ゴルフ場や遊園地も併設され、年間を通して多くの観光客が訪れる一大レジャーランドとなっています。山頂にはテレビ送信所も林立しています。

登山ルート：自然を満喫する道

手稲山には、手稲山北尾根ルートと平和の滝～手稲山ルートの2つの自然歩道が整備されています。手稲山北尾根ルートは、金山入口からの乙女の滝コースと手稲本町入口からの北尾根コースがあり、いずれも体力のある登山者に適しています。平和の滝～手稲山ルートは平和の滝から山頂を目指すコースです。これらのルートでは、かつての手稲鉱山の遺構や豊かな自然を満喫することができます。さらに、西野からの林道ルートも存在しますが、事前に許可が必要となります。

まとめ：手稲山の多様な魅力

手稲山は、アイヌ文化、鉱山開発の歴史、冬季オリンピック、そして豊かな自然と、多くの歴史と文化を融合させた山です。登山、スキー、観光など、様々な楽しみ方ができる魅力的な場所と言えるでしょう。その歴史と自然に触れ、手稲山の多様な魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

もう一度検索