日本海追分ソーランライン

日本海追分ソーランライン

日本海追分ソーランラインは、北海道南西部の津軽海峡側から日本海沿岸を経て、道央の小樽市までを結ぶ延長約300キロメートルを超えるドライブルートに付けられた愛称です。具体的には、函館市を起点とし、国道228号、国道229号を経由し、小樽市に至る国道5号の一部区間を含む広域ルートを指します。この愛称は、沿線地域、特に檜山地方を中心に古くから歌い継がれる民謡「江差追分」と、後志地方などでニシン漁の際に歌われた「ソーラン節」に由来しており、かつて北海道の経済を支えたニシン漁の歴史と文化が深く根ざした地域を通ります。

経路

本ルートは主に国道228号区間と国道229号区間によって構成されます。国道228号は函館市から江差町方面へ向かいますが、北斗市七重浜までは国道227号と重複し、福島峠を越えます。また、福島町吉岡までは国道280号とも重複しており、この国道280号はそのまま津軽海峡を渡る海上国道として青森県へ続いています。江差町に入ると一時的に国道227号を経て、終点である江差町柳崎から日本海沿いを北上する国道229号へと接続します。国道229号の終点手前からは国道5号と重複し、この重複区間がルートの終点である小樽市駅前まで続きます。また、国道229号の終点付近では、さらに北へと続く日本海オロロンライン（国道231号など）へと接続します。

各区間の特徴

国道228号区間は、内陸部を通る福島峠越えを含む変化に富んだルートです。一方、江差町柳崎から始まる国道229号区間は、一転して日本海の荒々しい海岸線に沿って進みます。この区間は断崖絶壁が多く、特徴的な奇岩が点在し、それらを縫うように数多くのトンネルが連続します。せたな町の太櫓越峠を通過する一部区間を除き、ほぼ全線が海岸線に沿っており、昔ながらの漁村の風景が延々と続きます。素朴な漁港や漁村の生活感が感じられる景観が、このルートの特徴の一つです。しかし、余市町黒川に入ると雰囲気が変わり、内陸部を通る国道5号と合流・重複し、海岸線から離れて小樽市街地へと向かいます。

通過自治体

日本海追分ソーランラインは、北海道の複数の振興局を跨ぎ、以下の多くの自治体を通過します。

渡島総合振興局
函館市、北斗市、上磯郡木古内町、上磯郡知内町、松前郡福島町、松前郡松前町、二海郡八雲町
檜山振興局
檜山郡上ノ国町、檜山郡江差町、爾志郡乙部町、久遠郡せたな町
後志総合振興局
島牧郡島牧村、寿都郡寿都町、寿都郡黒松内町、磯谷郡蘭越町、岩内郡岩内町、岩内郡共和町、古宇郡泊村、古宇郡神恵内村、積丹郡積丹町、古平郡古平町、余市郡余市町、小樽市

愛称の由来

このルートの名前は、沿線地域に伝わる二つの有名な民謡、江差追分とソーラン節に由来します。これらの地域は、かつてニシン漁で大いに栄えました。春になると大量のニシンが押し寄せ、「ニシン御殿」と呼ばれる富豪が現れるほどの活況を呈しました。江差追分は北前船の船乗りによって伝えられた唄がルーツとも言われ、江差で独自の発展を遂げたもので、人生の哀愁を帯びた旋律が特徴です。一方、ソーラン節はニシン漁の重労働の中で生まれ、網起こしの際に歌われた力強く景気の良い労働歌です。このように、日本海追分ソーランラインの愛称は、この地の自然景観だけでなく、ニシン漁とともに歩んだ人々の歴史や文化、そしてそこで生まれた民謡への敬意を表しています。

関連項目

* 日本海オロロンライン：北海道の日本海沿いを北上するもう一つの有名なドライブルートです。

このルートを旅することで、北海道の豊かな自然景観に加え、かつての漁業の繁栄とその中で培われた文化の息吹を感じることができるでしょう。

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