日産ディーゼル・スペースランナーRM

スペースランナーRM：UDトラックス中型バスの歴史

スペースランナーRMは、UDトラックス（旧日産ディーゼル工業）が製造・販売していた、路線バス、観光バス、自家用バスとして利用された中型バスです。その開発の背景から、モデルチェンジ、技術革新、そして市場のニーズに応える変遷を詳細に解説します。

シリーズの概要

かつて、日産ディーゼル工業は大型短尺バス市場から一時撤退していました。しかし、1960年代から1970年代にかけて、他社が中型バス市場に参入する中、日産ディーゼルも1975年に中型バス市場に再参入しました。それがスペースランナーRMの始まりです。

日野[[自動車]]が中型トラック「レンジャー」のコンポーネントを共用した中型バスを発売し、三菱重工業、いすゞ[[自動車]]も中型バス市場へ参入しました。これらの動きを受け、日産ディーゼルは、中型トラック「コンドル」のエンジンを搭載したRM90系を発表しました。このRM90系は、その後のスペースランナーRMの基礎となります。

1980年代には、排出ガス規制に対応したモデルチェンジが行われ、エンジンも改良されました。1988年には西日本車体工業製のボディを架装したRB80がラインナップに加わり、トルコンAT車も設定されました。1992年には、西日本鉄道が路面電車代替バスとしてJM210を導入し、これが後のJPへと発展し、中型長尺車という新たなカテゴリーを築きました。

中型ワンステップバスは1989年からRB80に追加され、JPでは国内初の車椅子乗降用スロープ板を装備し、バリアフリーへの配慮もなされました。1998年には国内初の中型ノンステップバスも登場し、CNG車との組み合わせも展開するなど、技術革新を重ねました。

しかし、観光仕様車の開発・販売は不得意であり、路線仕様車がシェアを拡大する一方で、観光系のラインナップは縮小されていきました。

シリーズの変遷

富士重工業製ボディ

RM90：1975年発売。モノコック構造のボディに渦流室式ED6エンジンを搭載。
K-RM80：1980年、排出ガス規制に対応し、直接噴射式FD6エンジンに変更。1982年からスケルトンボディR16系となる。
P-RM81：1984年、排出ガス規制に対応し、FE6エンジン搭載。ターボ付エンジン搭載のハイデッカーも登場。
U-RM210：1990年、排出ガス規制に対応し、「スペースランナー」として発売。車体は8E/8B。観光・自家用はスタンダードデッカーのみ。
KC-RM211/250：1995年、排出ガス規制に対応。西工に合わせ、ワンステップが設定（ショートボディはリーフサス車のみ）。
KK-RM252：1999年、フルモデルチェンジ。ワンステップとツーステップのみ選択可能。車体は富士重工の8E/8B。最終型車体はフロントガラス方向幕部分の一体ガラス化など、各所が改良。

西日本車体工業製ボディ

P-RB80：1988年発売。西工専用フレーム付シャシ。FE6またはFE6Tエンジンを搭載。ツーステップ、ワンステップ、ハイデッカーの3種類。1989年には国産初の量産型ワンステップバスも登場。
U-JM210：1990年、排出ガス規制に対応しフルモデルチェンジ。FE6またはFE6Tエンジンを搭載。1993年、ファインコンドルで採用された24バルブエンジンを搭載。路線系はツーステップまたはワンステップ。観光・自家用はツーステップとハイデッカー。西工オリジナルデザイン。
KC-RM211/KC-JM250：1995年、排出ガス規制に対応し、フルモデルチェンジ。路線系はRMに統合。24バルブ化されたFE6E/FE6TAエンジンを搭載。フルエアサス化。西工は96MCも選択可能に。
KK-RM252/KK-JM252：1999年、フルモデルチェンジ。FE6F/FE6TAエンジンを搭載。CNGエンジンも登場。西工ボディは96MCまたはオリジナルデザイン。ノンステップは西工のみ、ワンステップは両車体で選択可。JM系はハイデッカー専用。
PB-RM360：2004年、フルモデルチェンジ。日野[[自動車]]製エンジンを搭載。リアコンビネーションランプが縦型に変更。車体は96MCとなり、大型のE-IIに準じたF-Iとなる。2007年8月販売終了。
PDG-RM820：2007年、新長期規制適合。三菱ふそう製エンジンを搭載。三菱ふそうへOEM供給。リアコンビネーションランプがエアロミディMKと同様のリアバンパー内蔵タイプに変更。西工での車体生産終了に伴い、2010年8月末で製造終了。

CNG車

1999年には日本初の中型CNGノンステップバスを発売。低公害とバリアフリーを両立。CNGバスの低床化は、規制緩和によりガスボンベの軽量化が可能になったことで実現。2000年には中型車のRMにもCNG車をラインナップ。しかし2000年代後半以降はCNGバスの需要が減少し、2007年で生産・販売を終了。RM系のCNGバスはKK-RM252系のみで、FU6エンジンを搭載。

まとめ

スペースランナーRMは、UDトラックスの中型バスを代表するモデルです。その開発から終焉まで、多くの技術革新と市場のニーズに対応した変遷を遂げました。特に、中型ノンステップバスやCNGバスの開発は、業界に大きな影響を与えました。これらの技術は、現代のバスにも受け継がれています。

参考文献

『バスラマエクスプレス No.03 日産ディーゼル 高福祉バス・低公害バス』ぽると出版、1997年。
『バスラマ・インターナショナル』第195号、ぽると出版、2022年。
『バスラマスペシャル 11　UDマークのバス達　1947→2010　63年間の記録』ぽると出版、2012年。
『バスラマスペシャル 8　富士重工業のバス事業』ぽると出版、2002年。
『バスラマスペシャル 10　西工の軌跡　九州から全国へ唯一の独立バスメーカーの誕生から終焉まで』ぽると出版、2010年。

関連項目

UDトラックス
UD・コンドル
日産ディーゼル・スペースランナーJP
日産ディーゼル・RN
日産ディーゼル・F系エンジン
日野・J型エンジン
三菱ふそう・6M系エンジン
* 天然ガス[[自動車]]

もう一度検索