曹彰

曹彰（そうしょう）

曹彰（そう しょう、中平6年（189年）/初平元年（190年） - 黄初4年6月17日（223年8月1日））は、中国後漢末期から三国時代の魏の皇族、武将。字は子文（しぶん）。曹章（そうしょう）とも表記される。諡は任城威王（にんじょういおう）。

生涯

187年（曹丕の出生年）から192年（曹植の出生年）の間に生まれた曹彰は、父の曹操（そうそう）の四男であり、卞（べん）氏の子としては次男にあたる。同母兄に曹丕（そうひ）、同母弟に曹植（そうしょく）・曹熊（そうゆう）らがいる。妻は孫賁（そんひ）の娘で、子に曹楷（そうかい）と娘（魏の王昌（おうちょう）の妻）がいる。孫には曹温（そうおん）・曹悌（そうてい）らがいる。

幼少の頃から弓術と馬術に優れ、人並み外れた腕力を持っていた。猛獣と格闘することも厭わず、険阻な場所でも平然としていたという。曹操の征伐に従軍し、その激しい気性を示した。

曹操は曹彰の武勇を重んじる一方で、その粗暴さを戒めるために学問を奨励した。しかし、曹彰は「衛青（えいせい）や霍去病（かくきょへい）のような将軍を目指しているのであって、博士になりたいのではない」と側近に漏らしたという。曹操が子供たちに将来の目標を尋ねた際、曹彰は「将軍として先陣を切り、信賞必罰を旨とする」と述べ、曹操を大いに喜ばせた。

父が魏王に封じられると、曹彰は鄢陵侯（えんりょうこう）に封じられた。田豫（でんよ）がその相（補佐官）となった。

代郡（だいぐん）では、裴潜（はいせん）の後任者が統治を誤ったため、烏桓（うがん）が反乱を起こした。曹彰は北中郎将（ほくちゅうろうしょう）・行驍騎将軍（ぎょうぎょうきしょうぐん）となり、田豫と共にこれを討伐。出発に際し、曹操から法を遵守するよう戒められ、兄の曹丕からも曹仁（そうじん）を手本とするよう手紙で忠告を受けた。

涿郡（たくぐん）との境で烏桓と遭遇すると、田豫の計略を用いてこれを撃破。曹彰は逃走する烏桓を追撃し、半日以上にわたって戦い続けた。曹彰が放つ矢は必ず命中して敵を倒したが、曹彰自身も鎧に数本の矢を受けた。部下たちは疲労し、代郡を超えての追撃は曹操の指示に反すると主張したが、曹彰は「勝利に専念すべきであり、今こそ好機である。指示に従って敵を放置するのは良将とは言えない」として、追撃を続行し、烏桓を大いに破った。曹彰は通常の倍にあたる恩賞を将兵に与えたため、将兵たちは大いに喜んだ。鮮卑（せんぴ）の軻比能（かひのう）が数万の騎兵を率いて情勢を窺っていたが、曹彰が敵対勢力を全て撃ち破ったのを見て、曹操に服従することを決めたという。

長安にいた曹操に呼び寄せられた曹彰は、鄴（ぎょう）を通った際に曹丕から、功績を自慢せず控えめに受け答えするよう助言された。曹彰が曹丕の助言通りに振る舞うと、曹操は曹彰の鬚（ひげ）を手に取って「黄鬚（こうしゅ）」（虎のような勇者の称号）と呼び、その成長を喜んだ。

曹操臨終の際には長安に駐屯していたため、早馬で呼び寄せられたが、父の死に間に合わなかった。洛陽に到着した曹彰は、曹操死後を取り仕切っていた賈逵（かき）に対し、璽綬（じじゅ）の所在を尋ねたが、「貴方の尋ねるべきことではない」と拒絶された。曹丕が帝位に即くと任城王（にんじょうおう）に昇進したが、その優れた武勇を警戒され、冷遇されるようになった。

223年、30代前半の若さで洛陽にて急死。死後、威王（いおう）と諡（おくりな）された。

河南省許昌市鄢陵県（えんりょうけん）には、曹彰の墓とされる塚があり、「曹操之子、曹彰之霊」と刻まれた石碑が建てられている。

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