朱齢石

朱齢石（しゅ れいせき）

朱齢石（379年 - 418年）は、東晋末期の軍人であり、字は伯児、本貫は沛国沛県です。後蜀を平定したことで歴史に名を残しています。

生涯

朱齢石は、父である朱綽を通じて桓沖に仕えました。朱綽が亡くなると、桓沖の子たちは齢石を兄弟のように大切に扱いました。若い頃から武芸を好み、大胆な性格であったという逸話が残っています。

劉裕が桓玄を討伐した際には、その配下として建武参軍となり、頭角を現します。桓玄の乱鎮圧後には、武康県令に任じられ、その地で反乱を起こした姚係祖を策略を用いて鎮圧しました。その後も劉裕の信頼を得て、徐州主簿、尚書都官郎といった要職を歴任しました。

義熙5年（409年）には、劉裕の南燕討伐に連座して一時免官となりますが、南燕平定後に再び参軍として復帰。盧循の乱では、長江南岸に布陣した盧循の軍勢を破るなど、その武勇を示しました。

義熙9年（413年）、朱齢石は後蜀討伐の元帥に任じられ、益州刺史を兼ねて臧熹、蒯恩、劉鍾、朱林ら2万の兵を率いて後蜀攻略へと向かいます。涪城を守る譙道福や、彭模に駐屯する侯輝・譙詵らの軍勢を次々と打ち破り、敵将を討ち取るなど目覚ましい活躍を見せました。各所での敗報を聞いた後蜀の皇帝、譙縦は逃亡し、最終的には王志に討たれ、ここに後蜀は滅亡しました。

後蜀平定の功績により、義熙11年（415年）に豊城県侯に封じられます。その後、太尉諮議参軍、冠軍将軍を歴任し、劉裕の北伐を後方から支えました。

義熙14年（418年）、劉裕が彭城から凱旋すると、相国右司馬に任じられ、桂陽公劉義真に召されて、持節・都督関中諸軍事・右将軍・雍州刺史として関中へ赴任します。しかし、夏の赫連勃勃が関中に侵攻すると、劉義真はこれを防ぐことができず、朱齢石は長安を放棄して潼関へ退却。王敬先が守る曹公塁に篭りますが、夏軍に包囲され、水の手を断たれたことで城は陥落。朱齢石は捕らえられ、長安で処刑されました。享年40歳。

人物

朱齢石は、大胆で武勇に優れた人物として知られています。一方で、若い頃には軽率な行動もあったようです。しかし、劉裕からの信頼は厚く、数々の戦いでその能力を発揮し、東晋の安定に貢献しました。

伝記資料

『宋書』巻48 列伝第8
『南史』巻16 列伝第6

もう一度検索