村上義弘 (競輪選手)

村上義弘：魂の走りで魅せた伝説の競輪選手

村上義弘（むらかみ よしひろ）は、1974年7月6日生まれ、京都府京都市出身の元競輪選手、現在は競輪評論家として活躍しています。競輪学校73期卒業で、現役時代は日本[[競輪選手会]]京都支部に所属し、京都向日町競輪場をホームバンクとしていました。血液型はO型です。

生い立ちと競輪選手への道

村上選手は、幼い頃から競輪ファンの父親に連れられ、競輪場へ足を運んでいました。その中で、特に先行選手の滝澤正光選手に憧れを抱き、自身も競輪選手を目指すようになったそうです。中学2年生の頃から連日乗り込み練習に励み、花園高等学校在学中には、国体の自転車競技で優勝するなど、その才能を開花させました。

高校3年生の時には、先輩の競輪選手であった山本真矢選手に紹介され、松本整選手と出会いました。バンク練習で松本選手についていくのが精一杯だったことから、競輪選手のレベルの高さを痛感したそうです。

プロとしてのキャリア

高校卒業後、競輪学校に入学し、1994年4月9日に小倉競輪場でデビューを果たしました。1995年前期にはS級3班へ昇級し、徹底先行を武器に頭角を現しました。しかし、怪我の影響もあり、S級上位で活躍するまでには時間がかかりました。

2000年頃から、GIIIレースでの初優勝や、ふるさとダービーでの勝利をきっかけに、その強さを増していきました。

2002年：GI初優勝とKEIRINグランプリ初出場

2002年7月28日、寬仁親王牌決勝戦で、村上選手は打鐘から先行し、最終的に4着となりました。しかし、後ろをマークしていた松本整選手が優勝し、村上選手は競輪の厳しさと、努力の大切さを教えてくれた先輩への恩返しができたと、涙を流して喜んだそうです。その後、ふるさとダービー弥彦、全日本選抜競輪を制覇し、念願のGIタイトルを獲得。その年のKEIRINグランプリにも初出場を果たしました。

スランプからの脱却

2003年、2004年には、ふるさとダービーなどを制覇し、活躍はピークを迎えましたが、2004年11月の全日本選抜競輪で負傷。その後、スランプに陥りました。しかし、2004年6月に引退した松本整選手から指導を受けるようになり、肉体改造や走行フォームの修正に取り組み、スランプから脱却しました。

2010年：兄弟での活躍とGI制覇

2010年には自身初のS級S班に格付けされ、弟の博幸選手とともに兄弟で同時S級S班入りを果たしました。同年1月の向日町記念決勝では、兄弟でワンツーフィニッシュを達成。3月の日本選手権競輪では、兄弟同乗で、弟の博幸選手がGIタイトルを獲得しました。また、自身も2着に入り、GI決勝での兄弟ワンツーフィニッシュという史上2例目の快挙を達成しました。

その後も、共同通信社杯競輪春一番での優勝や、寬仁親王牌での2着入賞など、活躍を続け、年間獲得賞金1億円を突破。KEIRINグランプリ2010への出場を決め、史上初の兄弟出場を果たしました。

2011年：ダービー連覇

2011年には、日本選手権競輪を制覇し、8年ぶりとなるGIタイトルを獲得。史上初となる兄弟でのダービー連覇を達成しました。しかし、その年のKEIRINグランプリでは、落車し、再乗8着となりました。

2012年：KEIRINグランプリ初制覇

2012年、KEIRINグランプリに向けた練習中に落車し、肋骨を骨折するアクシデントに見舞われましたが、本番では、成田和也選手、浅井康太選手とのデッドヒートを制し、グランプリ初優勝を飾りました。

2013年、2014年：ダービー連覇と自粛

2013年には、日本選手権競輪で2年ぶりのダービー優勝を果たしました。しかし、2013年12月には選手会移籍騒動の主謀者として、1年間の競走出場自粛を言い渡されます。その自粛期間直前の2014年3月の日本選手権競輪では、ダービー2連覇を達成しましたが、その後自粛に入りました。その後、自粛期間が短縮され、2014年8月に復帰を果たし、KEIRINグランプリ2014にも出場しました。

2016年：ダービー3連覇、KEIRINグランプリ2度目の制覇

2016年には、日本選手権競輪でダービー4勝目を達成し、吉岡稔真選手の最多優勝記録に並びました。さらに、年末のKEIRINグランプリ2016では、2度目のグランプリ制覇と賞金王に輝きました。

現役晩年

2017年以降は、怪我や落車による欠場も重なり、グランプリ出場を逃しましたが、2018年には、KEIRINグランプリに出場を果たしました。

引退

2022年9月29日に現役引退を発表しました。引退の理由として、自身の連対率が0%であったことや、最終日に1着を取れたことで心身ともに完全燃焼できたことを挙げています。2022年10月11日、選手登録消除。通算戦績は2236戦655勝（うち優勝はGI6度・KEIRINグランプリ2度を含む91回）、生涯獲得賞金は19億7690万3189円です。

引退後

2023年4月1日より、スポーツ報知専属の競輪評論家とSPEEDチャンネル専属コメンテーターとしての活動を開始。評論活動以外にも、競輪関係のイベントにゲストとして招かれ、トークショーなどに出演しています。

家族

3人兄弟の真ん中で、姉と弟がいます。弟は競輪選手の村上博幸選手です。妻と3人の娘がいます。

主な獲得タイトルと記録

2002年 - 読売新聞社杯全日本選抜競輪（岸和田競輪場）
2003年 - オールスター競輪（一宮競輪場）
2011年 - 第64回日本選手権競輪（名古屋競輪場）
2012年 - KEIRINグランプリ2012（京王閣競輪場）
2013年 - 第66回日本選手権競輪（立川競輪場）
2014年 - 第67回日本選手権競輪（名古屋競輪場）
2016年 - 第69回日本選手権競輪（3月・名古屋競輪場）、KEIRINグランプリ2016（立川競輪場）
年間賞金王2回 - 2012年、2016年
日本選手権競輪優勝4回（吉岡稔真とタイ記録）
ふるさとダービー優勝4回（松本整とタイ記録）
競輪祭連続20回出場（2018年）

競走スタイル

村上選手は、デビュー以来「先行マニア」と呼ばれるほど徹底的な先行スタイルを貫き、競輪界を代表する先行選手となりました。その走りは「魂の走り」と称され、多くのファンを魅了しました。晩年は自在選手へと変化しましたが、その根底には先行への強いこだわりがありました。

エピソード

非常に練習熱心で真面目な性格ですが、競輪界有数の激しい気性の持ち主でもあります。情に熱く、西宮競輪場の最終開催となった開設記念競輪で優勝した際には、大勢の観客の前で自らの自転車を高く掲げるパフォーマンスで、競輪場との別れを惜しみました。

師匠はいませんでしたが、弟の村上博幸選手の師匠であり、心の師として松本整選手を尊敬していました。また、根っからの自転車好きで、サイクリングを趣味とし、高級自転車を数多く所有していました。

母子家庭で育ち、経済的な理由から競輪選手を目指したそうです。

大先輩である山口幸二選手とは、兄弟のような親交があり、1歳下の市田佳寿浩選手とは「レースを通してわかり合ってきた特別な存在」と語っています。また、後輩の古性優作選手は、村上選手の競輪を尊重する発言をしています。

脚注

関連項目

競輪選手一覧
兄弟スポーツ選手一覧
松本整
内林久徳
村上博幸（実弟であり弟子）

外部リンク

現役時代戦績 - KEIRIN.JP
出走履歴 - 競輪ステーション
成績・出走履歴・獲得タイトル - オッズパーク競輪
＜日本一の兄弟競輪レーサー＞ 村上義弘＆村上博幸 「魂の轍」(1-3) - Number Web

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