東京15区

東京15区：明治期の東京を支えた15の行政区

概説

東京15区は、1878年（明治11年）に施行された郡区町村編制法によって設置された、東京府の15の行政区画です。麹町区、神田区、日本橋区、京橋区、芝区、麻布区、赤坂区、四谷区、牛込区、小石川区、本郷区、下谷区、浅草区、本所区、深川区の15区で構成され、皇居のある麹町区を中心とした「の」の字型に配置されていました。この順番は公式に定められており、必ずこの順で並べられました。これは、フランス・パリの行政区画の配置順序と同様に、中心部から時計回りに渦巻き状に区画されている点で共通しています。なお、東京15区は、1889年の市制・町村制施行や1932年の東京市域拡張（大東京市）を経て、現在の東京都区部の基礎となりました。

歴史

明治11年（1878年）の15区

郡区町村編制法の施行により、旧朱引内の土地（江戸時代の町奉行管轄地）を基に15区が誕生しました。この時点での各区の範囲は、現在の区画とは大きく異なっています。例えば麹町区は、現在の千代田区の大部分に加え、一部は新宿区四谷にもまたがっていました。日本橋区は、現在の日本橋地域に加えて、人形町や東日本橋なども含んでいました。その他各区も、現在の区画とは境界が異なり、はるかに広大な範囲を包含していました。

明治22年（1889年）の15区

1889年4月1日、市制・町村制施行に伴い、東京15区は範囲に変更がありました。一部の区は拡大する一方、一部は周辺の6郡の町村に編入されました。この時の範囲が東京市発足時の範囲であり、同時に15区は東京市の行政区になりました。

大東京市と東京都制

1932年（昭和7年）10月1日、東京市は周辺町村を編入して20区を新設、35区の大東京市となりました。この時点から、それまでの15区を「旧市域」、新設された20区を「新市域」と呼ぶようになりました。そして1943年（昭和18年）7月1日、東京都制施行により、東京府と東京市が廃止され、15区は東京都の行政区となりました。

区の再編

1947年（昭和22年）3月15日、東京都は区の再編を行い、それまでの35区が22区となりました。この際に発足時の15区は全て廃止され、新たな区に再編されました。例えば、麹町区と神田区の一部は千代田区に、日本橋区と京橋区の一部は中央区に、小石川区と本郷区の一部は文京区に統合されるなど、旧15区の名は消滅し、現在の区の礎となりました。しかし、現在の千代田区に麹町税務署、神田税務署、中央区に日本橋税務署、京橋税務署などが存在するように、官公庁の施設名や管轄区域には、東京15区の名残を見ることができます。

各区の詳細（抜粋）

ここでは、明治11年（1878年）時点での東京15区の構成町の一部を、例として紹介します。膨大な町名があり全てを記述することは不可能なため、主要な町名のみ抜粋して掲載します。

麹町区: 宮城、祝田町、宝田町、大手町、永楽町、有楽町、内幸町、霞ヶ関、永田町、平河町など。
神田区: (省略)
日本橋区: 本銀町、本石町、室町、本町、小舟町、小網町、箱崎町、人形町、蛎殻町、久松町、富沢町、堀留町、小伝馬町、馬喰町、横山町、東日本橋、浜町、茅場町など。
京橋区: (省略)
芝区: 汐留町、新橋、愛宕、虎ノ門、芝公園、浜松町、芝大門、三田、高輪、白金など。
麻布区: 飯倉町、麻布十番、西麻布、南麻布、六本木、元麻布など。
赤坂区: (省略)
四谷区: 四谷愛住町、四谷荒木町、四谷坂町など、現在の新宿区四谷エリアの町名。
牛込区: (省略)
小石川区: 諏訪町、水道、春日、小石川、白山、千石、大塚、小日向、音羽、目白台など、現在の文京区の町名。
本郷区: (省略)
下谷区: 御徒町、上野、東上野、北上野、池之端、谷中、根岸、三ノ輪など。現在の台東区の町名
浅草区: (省略)
本所区: (省略)
* 深川区: (省略)

※上記は一部抜粋であり、各区にはさらに多くの町が含まれていました。詳細な町名一覧は、歴史資料等を参照ください。

参考文献

この文章の作成には、東京都公文書館などの資料を参照しました。

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