松音知駅

松音知駅（まつねしりえき）は、北海道の北部、枝幸郡中頓別町字松音知に位置していた日本国有鉄道（国鉄）、後に北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線の鉄道駅（廃駅）です。電報略号は「マネ」、事務管理コードは▲121905が付与されていました。

歴史
この駅の歴史は、大正時代に始まります。1916年（大正5年）10月1日、当時の鉄道院宗谷線が小頓別駅と中頓別駅の間で延伸された際に、一般駅として開業しました。その後、路線の名称は何度か変更されています。1919年（大正8年）10月20日には宗谷本線の一部となり、1930年（昭和5年）4月1日には音威子府駅から稚内駅までの区間が宗谷本線から分離され北見線と改称されたことに伴い、北見線の駅となりました。第二次世界大戦後の1949年（昭和24年）6月1日には、公共企業体である日本国有鉄道に移管されます。さらに1961年（昭和36年）4月1日、路線の名称が天北線と改められ、松音知駅は天北線の駅となりました。1973年（昭和48年）9月17日には貨物や荷物の取り扱いが廃止され、同時にそれまで可能だった列車の交換設備も使用が停止されました。この日をもって駅は無人化されています。国鉄分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）の運営となりましたが、そのわずか2年後の1989年（平成元年）5月1日、天北線の全線廃止により、その役目を終え廃駅となりました。

駅名の由来
「松音知」という駅名は、この駅の近くを流れる頓別川の東側にある二つの独立峰に由来しています。これらの山は、アイヌの人々によってそれぞれ「ピンネシㇼ（pinne-sir）」（男である山）と「マッネシㇼ（matne-sir）」（女である山）と対にして呼ばれていました。松音知駅は、このうち「マッネシㇼ」、すなわち「女である山」から名付けられたものです。

駅構造
廃止された時点では、松音知駅は単式ホームが線路の北西側（南稚内方面へ向かって左手）に一つだけある地上駅で、列車交換のための分岐器を持たない棒線駅となっていました。かつては、相対式ホームが二つ設けられ、列車の行き違いが可能な交換駅として機能していた時期もありました。無人化されていましたが、有人駅として使われていた頃の駅舎が残されていました。駅舎は構内の北西側に位置し、ホームに接していました。駅構内が周囲より高台に築かれていたため、駅舎は高床式の構造で、駅前の広場から駅舎の入り口までは木の階段を上る必要がありました。1948年の航空写真からは、駅裏手の広い場所に多くの木材が積まれており、線路の一部が木材貨物を積み込むための側線として使われていた様子がうかがえます。

駅周辺
駅は周囲を山に囲まれた静かな場所にありました。近くには国道275号（頓別国道）が通っており、松音知神社や頓別川があります。駅の南西には標高528メートルの松音知岳がそびえています。また、宗谷バスの天北宗谷岬線には「松音知」停留所が設けられています。

駅跡
天北線の廃止後、松音知駅の跡地は特別な存在感を放ちました。1997年（平成9年）の時点では、地元住民の話によると個人の別荘として利用されており、駅舎、ホーム、レール、さらには腕木式信号機までがそのままの形で残されており、まるで現役当時の姿を保っているかのようでした。この状態は2010年（平成22年）になっても変わらず、この時点では旧天北線の駅舎としては唯一現存するものとして知られていました。2011年（平成23年）も同様でしたが、これは地元の人々による保存活動の結果であり、駅舎は一種の模擬展示として扱われていたようです。開口部などは模造されており、駅舎内部に立ち入ることはできなくなっていました。現在の状況としては、所有者によって敷地内への立ち入りや撮影が禁止されています。

隣の駅
北海道旅客鉄道 天北線
周磨駅 - 松音知駅 - 上駒駅

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