桓宣

桓宣（かんせん）：東晋初期の知勇兼備の将

桓宣は、西晋末期から東晋初期にかけて活躍した軍人です。字は不明で、譙国銍県（現在の安徽省宿州市一帯）の出身。

生涯

西晋が滅亡し、東晋が成立した動乱の時代に、桓宣は軍人として頭角を現しました。

313年、司馬睿（後の元帝）にその才能を見出され、舎人に任じられます。317年には、地方で反乱を起こした張平や樊雅の説得に成功し、彼らを降伏させました。その後も、祖逖の配下として樊雅の再反乱を鎮圧するなど、各地で軍功を重ねます。

322年、後趙が侵攻すると、桓宣は譙城の放棄を主張する祖約を諫めますが、受け入れられませんでした。327年には、蘇峻の反乱に加担しようとする祖智を懸命に説得しました。

328年、祖約が湓口を攻撃すると、桓宣は毛宝の援軍を得てこれを撃退。温嶠の軍に合流し、反乱鎮圧に貢献しました。乱の平定後、武昌に移り、郭黙の誘いを拒否し、陶侃に合流しました。

332年、後趙の郭敬が江西方面へ侵攻すると、陶侃と共に樊城を攻略。涅水で郭敬を破り、襄陽を奪還しました。335年には、後趙の石遇による襄陽攻撃を防ぎました。

339年、庾亮の指揮下に入り、343年には庾翼の李羆討伐に参加しますが敗北。その責任を問われ降格されます。344年、失意のうちに病没しました。

人物と逸話

桓宣は、軍事的な才能だけでなく、民政にも手腕を発揮しました。襄陽太守として、刑罰を簡素化し、農業と養蚕を奨励。自ら農具を手に民衆を指揮し、生産力の向上に尽力しました。その結果、桓宣は領民から厚い信頼を得て、後趙の侵攻を幾度も防ぐことができました。

その力量は祖逖や周訪に匹敵すると称えられ、東晋を支えた名将として、歴史に名を刻んでいます。

また、占術に長けた戴洋を参軍に任用し、陶侃に引き合わせた逸話も残っています。戴洋は、石勒の死後、北方に災いが起き、北伐が成功すると予言しました。陶侃は北伐を志していましたが、志半ばで病没しました。

評価

桓宣は、東晋初期の混乱期において、軍事と民政の両面で優れた能力を発揮した人物です。その功績は、東晋の安定に大きく貢献しました。特に、襄陽における善政は、領民から深く慕われ、桓宣の死後も長く語り継がれたといわれています。

桓宣は、知勇兼備の名将として、東晋の歴史において重要な役割を果たした人物として評価されています。

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