植物油の一覧

植物油の種類と用途

植物油は、植物の種子や果実から採取される油脂で、古くから食料や燃料、医薬品など様々な用途に利用されてきました。本記事では、多様な植物油の種類、採取方法、用途、そしてそれぞれの油脂の特徴について詳しく解説します。

植物油の採取方法

植物油の採取方法は大きく3つに分類されます。

1. 圧搾法: 植物を圧搾して油を絞り出す方法で、得られた油を圧搾油と呼びます。
2. 抽出法: 水や溶剤を用いて油分を抽出する方法で、抽出油と呼ばれます。圧搾と抽出を組み合わせるケースもあります。圧搾油と抽出油を合わせたものを粗油と呼び、精製を経て使用されます。
3. 精製法: 粗油を水蒸気蒸留などの方法で精製して得られる油を精油（エッセンシャルオイル）と呼びます。精油にハーブなどの成分を抽出させたものを浸出油と呼びます。

植物油の分類

植物油の分類方法はいくつかありますが、本記事では用途に基づいて分類します。食用油、バイオ燃料、乾性油、その他用途の4つのカテゴリーに分け、それぞれの特徴を説明します。

食用油

世界中で食用油として広く利用されている植物油には、以下のようなものがあります。

ココナッツオイル: 飽和脂肪酸が多く、加熱調理や化粧油として使用されます。
コーン油: 香りや味が淡白で、様々な料理に使用できます。
綿実油: 綿の種子から採取され、スナック菓子の揚げ油として使われます。トランス脂肪酸が少ないのが特徴です。
オリーブオイル: オリーブの実から採取され、料理、化粧品、石鹸などに使用されます。
パーム油: アブラヤシの果肉から採取され、バイオ燃料としても利用されています。
パーム核油: アブラヤシの胚乳から採取され、日本では主に食用として利用されています。
ピーナッツオイル: 透明度が高く、サラダ油や揚げ物に適しています。
菜種油: アブラナの種から採取され、調理油として広く使われています。キャノーラ油もその一種です。
サフラワー油: ベニバナの種から採取され、調理油として利用されています。
ごま油: ゴマから採取され、常温で採取したものは透明で香りが弱く、加熱して採取したものは色が濃く香りが強くなります。
大豆油: ダイズから採取され、醤油や飼料製造の副産物としても得られます。
ヒマワリ油: ヒマワリの種から採取され、調理油やバイオ燃料として利用されます。
ナッツ油: アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツなど様々なナッツから採取され、料理の香り付けなどに使用されます。高価であることが多いです。
ウリ科植物の種子油: ヒョウタン、メロン、カボチャなどの種子から採取されますが、抽出法が確立されていないため、利用は限定的です。
その他: アサイーオイル、カシスオイル、ルリジサ種子油、月見草オイルなど、栄養価が高くサプリメントとして使用される植物油もあります。また、アマランサスオイル、あんず油、リンゴ油、アルガンオイルなど、様々な植物から採取された食用油が存在します。

バイオ燃料

植物油の中には、バイオ燃料として利用できるものもあります。食用油を兼用するケースもありますが、バイオ燃料専用に栽培される植物もあります。バイオ燃料として適しているかどうかは、安定性（引火点、カロリー、粘度、可燃性）と価格（収穫量、処理コスト）が重要な要素となります。

食用油としても利用可能なもの: ココナッツオイル、コーン油、綿実油、アマナズナ油、ヘンプオイル、カラシ油、パーム油、ピーナッツオイル、ラディッシュ油、菜種油、ニガー種子油、こめ油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、桐油など。
食用には適さないもの: ひまし油、藻油、コパイバ油、クロヨナ種子油、ナンヨウアブラギリ油、ホホバ油、ミルクブッシュ、石油ナッツ油など。

乾性油

乾性油は、空気中で酸化し固まる性質を持つ植物油で、油絵具、塗料、ワニスの溶剤として利用されます。

アマニ油: 塗料などに使用されますが、食用にもなります。
ケシ油: アマニ油と同様の用途を持ちますが、変色しにくいのが特徴です。
桐油: 木材の表面処理剤などに使用されます。
* その他: クルミ油、ヒマワリ油、ダマー樹脂、烏臼油、Vernonia oilなど。

その他用途

食用油、バイオ燃料、乾性油以外の用途として、医薬品、化粧品、殺虫剤、香料など様々な分野で植物油が利用されています。キハダ油、バラノス油、Bladderpod oil、ニガキモドキ油、バードックオイル、ククイ油、ニンジン種油、ひまし油、大風子油、ハマナ油、クフェア油、ホホバ油、レモン油、マンゴー油、モーラバター、ニームオイル、Ojonオイル、オレンジ油、ローズヒップオイル、シーバックソーンオイル、シアバター、スノーボールオイル、トール油、タヒチ産Calophyllum tacamahaca油、トンカビーンオイルなど、多くの植物油がそれぞれの特性を生かして利用されています。

参考文献

本記事の記述は、様々な文献を参考に作成されています。詳細は、記事末尾の参考文献リストを参照ください。

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