植田謙吉

植田謙吉

植田謙吉（1875年3月8日 - 1962年9月11日）は、日本の陸軍軍人であり、最終階級は陸軍大将。正三位勲一等功三級。

経歴

大阪府南河内郡狭山村（現：大阪狭山市）にて、陸軍軍吏である植田謙八の二男として生まれる。彼は、北野中学校、東京高等商業学校（現在の一橋大学）を経て、1898年（明治31年）11月に陸軍士官学校（10期）を卒業。翌年6月には、騎兵少尉に任官した。

初期は陸士生徒隊附や騎兵監部員などを務め、1909年（明治42年）12月には陸軍大学校（21期）を卒業。その後、第18師団参謀、第16師団参謀、陸軍省軍務局課員、参謀本部附（欧州出張）などを歴任した。シベリア出兵の際には、浦塩派遣軍参謀として出征している。

1923年（大正12年）8月、陸軍少将に進級。航空部附、騎兵第3旅団長、軍馬補充部本部長などを経て、1928年（昭和3年）8月には陸軍中将に進級した。支那駐屯軍司令官を務めた後、第9師団長在任中に第一次上海事変が発生。停戦交渉中の1932年（昭和7年）4月29日、上海天長節爆弾事件により左脚を失う重傷を負った。

その後、大阪に凱旋した際の様子は、フランスの女性ジャーナリスト、アンドレ・ヴィオリスの著書『1932年の大日本帝国』に描写されている。

参謀本部付、参謀次長、朝鮮軍司令官などを歴任し、1934年（昭和9年）11月には陸軍大将に進んだ。軍事参議官を務めた後、関東軍司令官兼駐満大使に就任したが、在任中にノモンハン事件が発生。停戦後、その責任を負う形で1939年（昭和14年）12月に予備役へ編入となった。

戦後は公職追放の対象となり、1952年の追放解除後は戦友団体連合会会長、日本郷友連盟会長を務めた。

年譜

1898年（明治31年）11月：陸軍士官学校卒業
1899年（明治32年）6月27日：少尉、騎兵第12連隊附
1901年（明治34年）11月3日：陸軍騎兵中尉
1904年（明治37年）8月2日：陸軍騎兵大尉
1906年（明治39年）11月22日：陸軍大学校入校
1909年（明治42年）12月3日：陸軍大学校卒業
1911年（明治44年）4月22日：陸軍騎兵少佐
1916年（大正5年）5月2日：陸軍騎兵中佐
1918年（大正7年）12月27日：浦塩派遣軍参謀
1919年（大正8年）7月25日：陸軍騎兵大佐
1919年（大正8年）10月14日：浦塩派遣軍作戦課長
1922年（大正11年）11月6日：教育総監部附
1923年（大正12年）3月17日：騎兵第1連隊長
1923年（大正12年）8月6日：陸軍少将・陸軍航空部附
1924年（大正13年）2月4日：騎兵第3旅団長
1925年（大正14年）5月1日：馬政長官
1926年（大正15年）3月2日：軍馬補充部本部長
1928年（昭和3年）8月10日：陸軍中将
1929年（昭和4年）3月16日：支那駐屯軍司令官
1930年（昭和5年）12月22日：第9師団長
1933年（昭和8年）6月19日：参謀次長
1934年（昭和9年）8月1日：朝鮮軍司令官
1934年（昭和9年）11月28日：陸軍大将
1935年（昭和10年）12月2日：軍事参議官
1936年（昭和11年）3月6日：関東軍司令官兼満洲国駐箚特命全権大使
1939年（昭和14年）9月7日：参謀本部附
1939年（昭和14年）11月14日：待命
1939年（昭和14年）12月1日：予備役編入
1955年（昭和30年）6月：日本戦友団体連合会会長（～昭和32年5月）
1956年（昭和31年）5月：日本郷友連盟会長（改称）

栄典

位階

1902年（明治35年）2月20日 - 従七位
1923年（大正12年）11月20日 - 正五位
1928年（昭和3年）9月1日 - 従四位
1931年（昭和6年）1月16日 - 正四位

勲章等

1926年（大正15年）7月22日 - 勲二等瑞宝章
勲一等瑞宝章：1931年（昭和6年）9月8日
勲一等旭日大綬章：1934年（昭和9年）4月29日
功三級金鵄勲章：1934年（昭和9年）4月29日

外国勲章佩用允許

1934年（昭和9年）5月9日 - 満州帝国：勲一位景雲章
1937年（昭和12年）12月1日 - 満州帝国：勲一位龍光大綬章
大勲位蘭花大綬章 ：1941年（昭和16年）12月9日
2等聖スタニスラウス勲章
銀星附クロア・ド・ゲール勲章
聖マイケル・聖ジョージ勲章コンパニオン
レジオンドヌール勲章オフィシエ
4等文虎勲章
建国神廟創建記念章：1941年（昭和16年）12月9日
満洲国国境事変従軍記章：1944年（昭和19年）5月1日

親族

兄：植田瞭吉（陸軍大佐）

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
陸軍現役将校同相当官実役停年名簿. 昭和10年9月1日調 17頁

関連項目

シベリア出兵
第一次上海事変
上海天長節爆弾事件

もう一度検索