榊原氏

榊原氏（さかきばらし）

榊原氏は、清和源氏の流れを汲む日本の氏族の一つです。特に三河国を拠点とした榊原氏が知られており、江戸時代には譜代大名として幕府を支え、明治維新後には華族の子爵家となりました。家紋は源氏車を使用しています。

三河榊原氏

出自

榊原氏は、清和源氏の流れを汲む仁木氏の一族とされています。『寛永諸家系図伝』には仁木義長の子孫であると記され、『藩翰譜』によれば、仁木義長の後胤である榊原清長が伊勢国から三河国に移り、松平親忠に仕えたとされています。ただし、『伊勢名勝志』には、清長が三河に移住した時期について疑問が呈されています。また、三河に移った榊原氏にも複数の系統があり、大名となった榊原氏はその分家筋にあたる可能性も指摘されています。

戦国時代

戦国時代には、榊原氏は松平氏に仕えました。榊原康政は徳川家康の小姓に取り立てられ、三河一向一揆での初陣を飾ると、徳川四天王、徳川十六神将に数えられるほどの功績を挙げ、上野国館林藩主となりました。康政の子孫は、その功績により江戸幕府において有力な譜代大名として重きをなしました。

江戸時代

康政の子である康勝が嗣子なく亡くなった際、榊原家は断絶の危機に瀕しましたが、徳川家康の介入により、康政の長男である忠次が榊原家を継承しました。その後、康勝の隠し子である勝政の存在が明らかになり、勝政の子孫は旗本として幕府に仕えることとなりました。

忠次の孫である政倫が若くして亡くなった際には、再び断絶の危機を迎えましたが、旗本榊原家から養子を迎えることで家名を存続させました。しかし、榊原政岑が将軍徳川吉宗の倹約令に背き贅沢を尽くしたため、蟄居・隠居となり、越後高田藩への懲罰的な転封処分を受けました。また、政純の死後には、弟の政永を身代わりにすることで家を存続させるという事態も起きました。

これらの困難を乗り越え榊原家が取り潰しを免れたのは、藩祖である康政の功績と、家康による家名存続の命があったためと考えられます。幕藩体制下では、上野国館林藩、陸奥国白河藩、播磨国姫路藩、越後国村上藩、越後国高田藩と藩地を移り変わりました。

越後高田藩最後の藩主である榊原政敬は、戊辰戦争において当初は徳川家を支持しましたが、後に官軍に鞍替えし、長岡藩や会津藩の征圧に貢献しました。

明治以降

明治2年（1869年）には、戊辰戦争の軍功により榊原政敬に賞典禄が下賜され、版籍奉還後は高田藩知事に任じられました。明治4年（1871年）の廃藩置県により藩知事を解任され、華族に列せられています。明治17年（1884年）の華族令施行により子爵となりました。

政敬は伯爵への陞爵を度々請願しましたが、実現しませんでした。政敬には実子がなかったため、養子を迎え家督を継がせています。

その他の一門

榊原氏には、三河榊原氏の他にも、駿河の榊原氏、中原姓榊原氏、藤原姓榊原氏、花房氏流榊原氏、井伊氏流榊原氏、度会姓榊原氏など、様々な系統が存在します。これらの榊原氏も、それぞれの歴史を刻み、各方面で活躍しました。

脚注

*参考文献参照

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