武 (鹿児島市)

鹿児島市武（たけ）の詳細解説

鹿児島市武は、同市の中央部に位置する町丁で、新川の下流域に広がっています。この地域は、かつて武村として存在し、その歴史は南北朝時代にまで遡ります。現在の武は、一丁目から三丁目までで構成され、住居表示が実施されています。

地理

武は、鹿児島市の中央部に位置し、新川の下流にあります。北には西田、南から西にかけては田上、東には鹿児島中央駅を挟んで中央町、西には武岡と隣接しています。町域の北部には九州新幹線の高架橋が東西に走り、東端には鹿児島中央駅があります。また、町の中央部には鹿児島県道24号線と国道3号線が通り、交通の便が良い地域です。特に、国道3号線は武岡トンネルを経由して鹿児島ICへと続いています。さらに、新武岡トンネルの開通により、交通の流れはよりスムーズになりました。教育施設としては、南東部に鹿児島市立武小学校、西部には鹿児島市立武中学校があります。

歴史

中世

武の地名は、南北朝時代から確認でき、当時は薩摩国鹿児島郡に属していました。「田毛」や「嶽」とも記されていたそうです。1372年には、禅恵からその子息に土地が譲与され、1374年には、久成からとよまさへ、そして1403年には島津元久から渋谷重頼に与えられました。建部神社は、鎌倉時代に大隅国で創建され、その後、現在の場所に移されました。

近世

江戸時代には、武村は鹿児島近在の一部であり、村には庄屋が置かれ、名主や名頭がいました。宝暦の頃には、屋久島蔵や御船手といった役所も存在しました。また、塩屋村は元々武村の一部でしたが、1628年に分立しました。天保年間には、甲突川の浚渫土砂で埋め立てられた天保山が造成され、後に薩摩藩の演習場として利用されました。

近代

1889年の町村制施行により、武村は西別府村、田上村とともに西武田村の一部となりました。1911年、西武田村の一部が鹿児島市に編入され、その際に武の一部が鹿児島市武町となりました。この編入は、西武田村にとって大きな痛手となり、激しい反対運動が繰り広げられましたが、実現しました。これにより、天保山や八幡田圃といった飛地はそれぞれ下荒田町や高麗町に編入され、残りの区域が武町となりました。1934年には西武田村が鹿児島市に編入され、武町が完全に鹿児島市の一部となりました。

現代

第二次世界大戦中には、鹿児島大空襲で西鹿児島駅周辺が被災しました。1970年代には住居表示が実施され、町域の再編が行われました。これにより、武一丁目から三丁目、西田二丁目、西田三丁目が誕生しました。また、土地区画整理事業も完了し、町の景観は大きく変わりました。

町名の由来

武の町名の由来には、いくつかの説があります。

1. 産土神である「建部神社」に由来するという説。
2. 稲田が多かったことから「田毛」が訛ったという説。
3. アイヌ語で水を汲む場所を意味する「タ」と場所を意味する「ケ」に由来するという説。

交通

武の北部には九州新幹線が通り、鹿児島中央駅が隣接しています。また、鹿児島本線も武の南端を通っています。国道3号線は武岡トンネルを経由し、鹿児島ICへと繋がっています。2013年には鹿児島東西幹線道路が開通し、交通の便はさらに向上しました。

文化財・施設

武には、西郷隆盛ゆかりの西郷公園があります。また、市指定の文化財として武一丁目の田の神があります。公共施設としては、武福祉館、教育施設としては、武小学校、武中学校、武幼稚園があります。さらに、建部神社、興照寺、正縁寺といった寺社もあります。

教育

武は、教育の歴史も長く、かつて鹿児島師範学校が置かれていました。現在は、武小学校と武中学校が地域の教育を担っています。武中学校は、1947年に第六中学校として開校し、1949年に現在の名称となりました。武小学校は、1937年に中洲尋常小学校から分離して設立されました。

関連人物

武には、西郷隆盛が一時居住していました。西郷は、征韓論に敗れて帰郷した後、武村に屋敷を構えていました。その屋敷跡は、現在西郷公園として整備され、市民の憩いの場となっています。

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