武田信繁 (安芸武田氏)

武田信繁について

武田信繁（たけだ のぶしげ）は、室町時代において重要な役割を果たした武将であり、安芸武田氏の第4代当主として知られています。彼の祖先は、安芸分郡や佐東郡、安南郡、山県郡の守護を務めており、その家系の権力を継承しました。信繁は、2代当主である武田信在の子であり、3代当主武田信守の弟でもあります。彼の家族には、信栄、信賢、国信、元綱などの子供がおり、家系の繁栄に寄与しました。

生涯と業績

信繁は、家督を継承した具体的な時期は明確ではないものの、応永29年（1422年）には従五位下に叙任され、安芸佐東郡の守護に任命されています。このことから、彼はこの頃から家督を継承したと考えられています。その後、永享2年（1430年）には、安南郡と山県郡の守護にも任じられ、安芸国内での権力を拡大しました。

特に重要な出来事の一つとして、永享3年（1431年）に周防・長門守護の大内盛見が討たれた際、室町幕府6代将軍足利義教が安芸の国人衆に出陣を命じたことがありますが、この命令に信繁と小早川則平は従いませんでした。信繁は、翌年に義教の直接の命令で嫡子の信栄を連れ九州に向かうことになります。このことは、安芸武田氏が外様衆としての格式を有し、守護の直接的な命令を受けない立場にあったことを示しています。

ところが、永享5年（1433年）に信繁は無断で帰国したことが問題となり、義教から警告を受けることになりました。しかし、管領の細川持之の仲介によって許されました。その後、永享9年（1437年）には大和にて起こった永享の乱にも安芸の軍勢を率いて参加しています。

永享12年（1440年）には、信栄が義教の密命に従って若狭守護の一色義貫を討ったものの、同年7月に亡くなりました。信栄の死後、次男の信賢が家督を継ぎ、安芸分郡の守護職を受けますが、信賢が若狭の支配に多くの時間を割いていたため、引き続き信繁が安芸の支配を行うこととなりました。

しかし、状況は思わぬ展開を見せます。安芸東部の東西条を支配していた大内氏が文安4年（1447年）に侵攻し、安芸武田軍と衝突する事態が生じました。また、長禄元年（1457年）には、厳島神社の神主、佐伯親春が信繁との所領争いに巻き込まれ、再び大内教弘が安芸に侵攻しましたが、幕府の命令で支援に駆けつけた毛利煕元や小早川煕平、吉川之経らによって落城を免れました。

寛正2年（1461年）には、大内教弘に代わって幕府から東西条の領有を与えられましたが、教弘側はこれに反発し、戦いに突入しました。信繁の軍は、細川勝元の支持を受けつつ、教弘や平賀弘宗、小早川盛景と連携して大内軍と戦います。

信繁は、寛正6年（1465年）11月1日にの生涯を終えました。享年76歳であり、彼の死後は元綱が安芸分郡の支配を引き継ぎました。彼の人生は、戦国時代の激動の中で武将としての権力を維持し、家族を守るために尽力した姿が伺えます。信繁の功績は、後の武田氏に多大な影響を与え、地域社会における重要な役割を果たし続けました。

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