永田洋子

永田洋子は、1945年に東京都で生まれ、2011年に獄中で亡くなった日本のテロリスト、新左翼活動家です。連合赤軍の中央委員会副委員長を務め、複数のリンチや殺人に深く関与しました。最終的に死刑判決を受けましたが、執行前に脳腫瘍で死亡しました。

生い立ちと学生時代

永田は東京都本郷区で生まれ、幼少期は神奈川県横浜市で過ごしました。調布中学校・高等学校を経て、1963年に共立薬科大学薬学部に入学。大学在学中に共産主義者同盟マルクス・レーニン主義派（社学同ML派）の学生組織に参加し、政治活動に身を投じました。1964年には同派に正式加盟しています。

薬剤師から活動家へ

1967年に大学を卒業後、慶應義塾大学病院や品川区の三水会病院などで薬剤師として勤務。この間、社学同ML派の元幹部である河北三男と川島豪による分派「警鐘」に勧誘され、女性解放問題や労働運動に関わりました。その後、組織の指示と本人の希望で薬剤師の職を辞し、活動に専念するようになります。

革命左派と連合赤軍

三里塚闘争などにも参加した後、「警鐘」と日本共産党を除名された神奈川県の親中国派が合同した日本共産党（左派）神奈川県委員会を経て、日本共産党（革命左派）神奈川県委員会のメンバーとなりました。革命左派（京浜安保共闘）では、「京浜安保のおんな3戦士」の一人として知られるようになります。1969年末の川島豪らの逮捕後、獄外指導部のメンバーとなり、1970年9月には最高指導者に選出されました。

永田は最高指導者として、上赤塚交番襲撃事件や真岡銃砲店襲撃事件に関与しました。特に、印旛沼事件では、薬学の知識を悪用して睡眠薬を調合し、元同志2人の殺害を指示しました。1971年からは、共産主義者同盟赤軍派との連携を指導し、両派合同による連合赤軍を結成。この「新党」では、委員長の森恒夫に次ぐナンバー2の副委員長に就任しました。

逮捕と裁判

1972年2月、永田は森恒夫とともに警察に逮捕されました。逮捕後、連合赤軍の同志殺害事件の原因を究明するため、川島豪が率いる革命左派に復帰。しかし、川島の連合赤軍の「反米愛国路線の放棄」という総括に反発し、赤軍派議長の塩見孝也の立場に同調したため、「永久除名」処分を受けました。その後は、塩見と連合赤軍の総括を共に行い、1974年の塩見による赤軍派プロ革派の結成に参加しました。しかし、1980年には連合赤軍事件を指導部の資質の問題とするようになった塩見と決別し、以降は植垣康博と共に連合赤軍の総括に取り組みました。

1983年、山岳ベース事件を主導したとして死刑判決を受けました。判決は、永田の「不信感、猜疑心、嫉妬心」などが原因と指摘しましたが、永田は事実誤認があるとして控訴しました。控訴審、上告審でも判決は覆らず、1993年に死刑が確定しました。その後も再審請求を続けましたが、2006年に棄却されました。

獄中生活と死

永田は脳腫瘍を患いながら裁判を続けました。2008年には危篤状態であることが報道され、晩年は会話ができない状態でした。2011年2月5日、東京拘置所で脳萎縮と誤嚥性肺炎のため65歳で亡くなりました。

思想と人物

永田は、同志殺害の原因を革命運動の抱える問題にあると考えており、自身の個人的資質に原因を求める判決に強く反発していました。彼女は、左翼党派の党派主義や一党独裁こそが事件の本質だと主張しました。また、植垣康博は永田について、自我がなく、常に自分を支えてくれる男性の思想に染まりやすい人物だったと述べています。

著書と関連作品

永田は獄中で、『十六の墓標』などの著書を執筆しました。また、彼女をモデルにした映画や漫画も制作されており、その過激な行動と思想が描かれています。

永田洋子の生涯は、日本の新左翼運動における過激化と悲劇を象徴するものであり、その思想と行動は、今もなお多くの議論を呼んでいます。

もう一度検索