沈惟岳

沈惟岳（しん いがく）の生涯

沈惟岳は奈良時代に存在した日本の貴族で、氏名は清海宿禰として知られています。彼は唐代出身の官吏であり、その経歴や活動について詳しく見ていきましょう。

経歴の始まり

沈惟岳は、もともと唐代で官吏を務めており、その官位は越州浦陽府折衝というものでした。天平宝字5年（761年）、第13次遣唐使に同行する形で日本に来ることになります。この遣唐使は、唐の大使である高元度を含む一行で、日本へ帰国する際に沈惟岳は押水手官、水夫の監督官として参加していました。彼は8月に大宰府に到着しました。

日本での最初の活動

到着後、翌年の天平宝字6年（762年）には大宰府で参議の藤原真先から饗応を受け、これにより禄を与えられました。しかし、同年の5月になると、沈惟岳に対して収賄の不正があったとして告発がありました。副使の紀喬容と司兵の晏子欽から、彼が不適格であるとの指摘を受けてしまいます。この件を調査した結果、不正が認められ、朝廷は判断を求められましたが、最終的には唐との協議によって現在の体制を維持すべきとの返答が寄せられました。

帰国の試み

その後、沈惟岳は日本側の使者、中臣鷹主とともに唐へ戻るための渡海を試みましたが、悪天候により成功しませんでした。天皇からの勅令により、再び大宰府に留まることとなりました。

安禄山の乱とその後

天平宝字7年（763年）には、淳仁天皇が官人や渤海使を饗応した際、渤海大使の王新福からの情報を受け、安禄山の乱による唐の不安定な状況について知ることになります。このため、沈惟岳たちは引き続き大宰府での生活を優遇されるようにとの勅令が下されました。結果として、彼を含む唐使全員が日本に帰化したとされています。

貴族昇進と官職

その後、沈惟岳は光仁天皇の治世にあたる宝亀11年（780年）に従五位下に叙爵され、さらに清海宿禰の姓を賜与されるとともに、左京に貫附されました。桓武天皇の時代となる延暦8年（789年）には、美作権掾に任命され、彼の官歴が進展していきました。

官歴の詳細

沈惟岳の官歴は『続日本紀』に記録されています。彼の昇進は時期不詳な正六位上から始まり、780年11月には従五位下となり、その後、12月4日には清海宿禰の姓を賜ったことが記されています。延暦8年の3月には美作権掾に任ぜられ、彼の生涯を通じての貴族としての地位が確立されました。

沈惟岳は、唐から日本に帰化し、さまざまな活動を通じて貴族としての地位を築いた重要な人物でした。

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