洞院実清

洞院実清（とういん さねきよ）は、南北朝時代に南朝に仕えた公卿であり、冷泉実清とも呼ばれます。彼は権大納言である洞院公敏の子として生まれました。最終的には大納言まで昇進し、南朝に忠誠を尽くしました。

実清の父である公敏は、後醍醐天皇の忠臣として知られていましたが、元弘の乱に連座し出家しました。実清はその後を継ぎ、南朝に仕えることになります。『尊卑分脈』には「左中将正四下、参南朝」と記録されており、公卿としての官位は南朝での叙任によるものと考えられています。

正平6年/観応2年（1351年）の正平一統時には権中納言の地位にあり、翌正平7年（1352年）正月の叙位で従二位に昇叙されました。しかし、同年5月の八幡の戦いで南朝軍が敗北し、男山が陥落すると、洞院実世や四条隆俊らと共に河内国東条へと落ち延びることとなりました。

正平8年/文和2年（1353年）には、賀名生で催された『内裏千首』に歌を詠進しています。正平9年/文和3年（1354年）12月には既に大納言にまで昇進していましたが、その後の消息ははっきりとしていません。正平14年/延文4年（1359年）8月の筑後川の戦いで懐良親王に従軍し討ち死にした「洞院権大納言」が実清のことではないかという説もありますが、確証はありません。

歌人としての才能も持ち合わせており、『新葉和歌集』には彼の歌が2首収録されています。

参考文献

『大日本史料』6編16冊、正平7年5月11日条
小木喬 『新葉和歌集―本文と研究』 笠間書院、1984年、ISBN 9784305101815
* 市古貞次監修 『国書人名辞典 第3巻』 岩波書店、1996年、ISBN 9784000800839

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