洞院満季

洞院満季（とういん みつすえ）は、室町時代前期に活躍した公卿です。権大納言・洞院実信の子として生まれ、権大納言・洞院公定の猶子となりました。その官位は従一位・内大臣にまで昇り、後小松天皇からの深い信任を得ていました。

応永16年（1409年）に従三位に叙せられ公卿に列して以降、満季は順調に昇進を重ねます。応永21年（1414年）には権中納言に任じられますが、応永22年（1415年）の大嘗祭の節会に遅参したことが原因で、4代将軍・足利義持から厳しい譴責を受けるという失態も経験しています。

しかし、満季はその後も着実にキャリアを積み重ね、応永26年（1419年）には権大納言に昇任。応永28年（1421年）には、今出川公行の薨去により断絶した今出川家の領地の一部を、後小松上皇から還付されるという恩恵を受けています。さらに応永30年（1423年）には、上皇の強い意向により右近衛大将に任じられました。これは、将軍家が推す久我清通を退けての異例の抜擢でした。

応永31年（1424年）には内大臣に昇任し、その地位を確固たるものとします。応永33年（1426年）には、後小松上皇の勅命を受け、皇室の系図である『本朝皇胤紹運録』を撰進。この業績を以て内大臣を辞任し、従一位を授けられました。

永享3年（1431年）には、後小松上皇の落飾に殉じて出家し、聖覚と号しました（後に浄導と改名）。しかし、上皇の落飾に立腹した6代将軍・足利義教から圧力を受け、早々の出家を余儀なくされたと伝えられています。義教の不興を買った満季は、娘を義教の側室（西御方）として送り込み、関係改善を図りますが、永享5年（1433年）に生まれた孫娘が不遇に見舞われるなど、必ずしも成功したとは言えませんでした。永享6年（1434年）には、西御方が放逐されたことで、左馬寮領を没収されるという憂き目にも遭っています。

満季は雅楽にも造詣が深く、特に箏の演奏に長けていたことから、後小松上皇の箏の師範を務めました。その才能もさることながら、上皇の感情に訴えかけることに長けており、上皇の庇護のもと雅楽界の中心的な存在として活躍しました。また、歌人としても才能を発揮し、『新続古今和歌集』には彼の作品が2首収録されています。

系譜
父：洞院実信
母：法印兼快の娘
猶父：洞院公定
妻：法印兼真の娘
男子：洞院実熙
子女：西御方
養子：禅信

参考文献
坂本麻実子 「15世紀の雅楽界（8） 洞院家三代と雅楽」（『MLAJ newsletter』Vol.7,No.5 音楽図書館協議会、1986年1月）
位藤邦生 「『看聞日記』の文学的研究」（『伏見宮貞成の文学』 清文堂出版、1991年）
末柄豊 「洞院公数の出家―東山御文庫本『洞院家今出川家相論之事』から―」（田島公編 『禁裏・公家文庫研究 第1輯』 思文閣出版、2003年）

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