海州連絡所

海州連絡所

海州連絡所は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の黄海南道海州市に所在する情報機関です。この施設は、朝鮮労働党作戦部（現在の朝鮮人民軍偵察総局）に所属し、工作員の侵入拠点として機能しています。別名として、第301連絡所や第755軍部隊とも呼ばれており、北朝鮮が持つ4か所の海上連絡所のうちの1つです。

概要

海州連絡所は、清津連絡所（咸鏡北道清津市）、元山連絡所（江原道高城郡）、南浦連絡所（南浦特別市）と並ぶ、海上処の重要な連絡所の1つとして、大韓民国（韓国）の西海岸への侵入作戦を担当しています。この連絡所には、高速スパイ船が配備されており、工作員の迅速な展開を可能にしています。

海州連絡所では、戦闘員と偵察局要員が7〜16人程度のチームを組み、魚雷などの武器を携行して、潮流の干満を利用しながら目標地点に潜入し、爆破工作を行うための潜水訓練が頻繁に実施されています。元北朝鮮人民保安省（現：社会安全省）の将校であった鄭意成（仮名）は、2010年3月26日に発生した天安沈没事件について、朝鮮人民軍偵察局が作戦を企画し、「海上狙撃旅団」が実行した可能性を指摘しています。

海上連絡所の役割

海上連絡所は、北朝鮮が韓国への工作活動を行う上で、非常に重要な役割を果たしています。これらの連絡所は、工作員の浸透だけでなく、物資の輸送、情報収集など、多岐にわたる活動を支援しています。特に、海州連絡所が担当する韓国西海岸は、韓国の主要都市であるソウルに近いため、北朝鮮にとっては戦略的に重要な地域と位置付けられています。

参考文献

清水惇『北朝鮮情報機関の全貌―独裁政権を支える巨大組織の実態』光人社、2004年5月。ISBN 4-76-981196-9。
全富億『北朝鮮のスパイ戦略』講談社〈講談社プラスアルファ文庫〉、2002年10月（原著1999年）。ISBN 4-06-256679-6。
崔銀姫、申相玉『闇からの谺（こだま） - 北朝鮮の内幕（上）』文藝春秋〈文春文庫〉、1989年3月（原著1988年）。ISBN 4-16-716202-4。

関連項目

朝鮮労働党作戦部
* 朝鮮民主主義人民共和国の諜報・情報機関

もう一度検索