深沢地域

深沢地域（ふかさわちいき）

深沢地域は、神奈川県鎌倉市に位置する行政区域の一つです。この地域は、梶原、鎌倉山、上町屋、手広、寺分、常盤、笛田、山崎の8つの大字で構成されています。かつて深沢村として存在していましたが、1948年に鎌倉市に編入され、現在では学校名や駅名などにその名を残すのみとなっています。人口は約33,000人（2007年1月現在）、面積は8.22km2です。

概要

深沢地域は鎌倉市の西部に位置し、藤沢市と隣接しています。北は大船地域、東は鎌倉地域、南は腰越地域と接しており、海に面していないのが特徴です。山や丘陵が多く、自然豊かな景観が広がっています。

地域内には湘南モノレールの駅（湘南町屋駅、湘南深沢駅）があり、バス路線も充実しているため、公共交通機関での移動が比較的便利です。笛田公園や笛田リサイクルセンターなどの施設も存在します。

主要道路としては、神奈川県道32号藤沢鎌倉線や神奈川県道304号腰越大船線が地域内を走っています。

地理

深沢地域は以下の地域区分で構成されています。

梶原
鎌倉山
上町屋
手広
寺分
常盤
笛田
山崎

歴史

古代・中世

平安時代には、桓武平氏の流れを汲む鎌倉氏の支配下でした。鎌倉景通の子である景久は梶原郷に住み、梶原氏を名乗ったとされています。梶原氏は源頼朝の側近として鎌倉時代初期に勢力を誇りました。地域内には、等覚寺や御霊神社など、梶原氏や梶原景時に関連する史跡が点在しています。深沢小学校の裏には、「梶原景時の墓」と伝えられるやぐらがあります。

鎌倉街道上道が地域内を東西に貫いていましたが、化粧坂から村岡（現在の藤沢市宮前付近）への経路は明確ではありません。鎌倉への入口として、この地域は鎌倉防衛の要所とされました。常盤の谷戸には北条政村の別邸があり、1333年の新田義貞による鎌倉攻めの際には、寺分・上町屋付近で洲崎合戦が起こり、北条氏の赤橋守時らが戦死しました。

近世・近代

近世には、東海道戸塚宿から鎌倉へ向かう道（鎌倉街道中道）から分岐した江の島道が地域内を南北に通っていました。1685年の新編鎌倉志には、鎌倉から常盤への道筋として大仏切通の記述があります。

鉄道の敷設計画は実現しませんでしたが、1930年代には大船と片瀬を結ぶ自動車専用道路が開通し、鎌倉山が別荘地として開発されました。

現代

1960年代以降、大規模な宅地造成により住宅団地が増加し、1970年の湘南モノレール開業とともに人口が急増しました。小学校も増設され、現在では深沢小学校の他に山崎小学校、西鎌倉小学校、富士塚小学校があります。

地域の史跡・名所

北条氏常盤亭跡（北条政村の別邸跡）
大仏切通
葛原岡神社・日野俊基墓
洲崎古戦場跡
泣塔
青蓮寺
常盤山文庫（非公開）
棟方板画美術館

産業

農業

1960年代頃までは農業が主な産業でしたが、宅地造成が進み、農地は減少しました。山崎や笛田の谷戸には、灌漑用の溜池が築造されました。

工業

戦時中に横須賀海軍工廠深沢分工場が建設され、戦後に国鉄大船工場となりました。また、三菱電機が進出し、柏尾川沿いに工業地域が形成されました。

主な事業所

三菱電機鎌倉製作所
豊島屋笛田工場
鎌倉ニュージャーマン鎌倉上町屋工房
東レ基礎研究所

かつて存在した事業所

国鉄大船工場
野村総合研究所
日本ロシュ鎌倉工場（跡地は中外製薬）
中外製薬鎌倉工場

商業

新興住宅地の造成とともにスーパーマーケットなどが増加しました。県道藤沢鎌倉線沿いにはレストランやガソリンスタンドなどが立ち並んでいます。現在、小町、大船に次ぐ第3の開発地域として、大規模な商業施設計画が検討されています。

主なスーパーマーケット

相鉄ローゼン鎌倉深沢店
やまか深沢店
野村ストア鎌倉店→ナイス鎌倉店→シヅオカヤ鎌倉店→セイフー鎌倉店→グルメシティ鎌倉店

交通

湘南モノレール

湘南モノレール江の島線
* 湘南町屋駅 - 湘南深沢駅

伝説

古代には、深沢地域には周囲四十里もの大きな湖があり、五頭竜が棲んでいたという伝説があります。中世には、この湖が深沢と呼ばれるようになり、地名になったと伝えられています。柏尾川や支流が地域内を流れていることから、水が滞留しやすい土地であったことは確かです。

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