湯宿温泉

湯宿温泉

湯宿温泉は、群馬県利根郡みなかみ町に位置する歴史ある温泉地です。その開湯は古く、仁寿2年（852年）に弘須法師によって発見されたと伝えられています。新潟県との県境に近い三国峠の手前に位置し、国道17号線沿いに温泉街が広がっています。

概要

湯宿温泉は、派手な歓楽要素が少ない、鄙びた雰囲気が魅力の温泉街です。現在でも湯治部を持つ旅館がいくつか存在し、昔ながらの湯治場の面影を残しています。温泉街には4軒の共同浴場がありますが、そのうち1軒は地元住民専用となっています。観光客が利用できるのは、「窪湯」、「竹の湯」、「小滝の湯」の3軒です。ただし、窪湯以外の共同浴場は地元住民専用の日が設けられています。

泉質は主にナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉で、源泉温度は約63℃。無色透明な湯が特徴です。

泉質
ナトリウム・カルシウム - 硫酸塩泉
源泉温度63℃
無色透明

適応症

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病などに効果があるとされています。

歴史

湯宿温泉の開湯は約1300年前の仁寿2年（852年）。弘須法師が読経中に薬師如来が現れ、温泉が湧き出したという伝説が残っています。

1999年（平成11年）4月20日：法師温泉、川古温泉と共に国民保養温泉地に指定。
2005年（平成17年）10月1日：みなかみ町発足に伴い、旧新治村の一部が「湯宿温泉」として新たな町名となりました。

アクセス

鉄道：上越新幹線上毛高原駅よりバスで約20分。

『ゲンセンカン主人』の舞台

湯宿温泉は、つげ義春の短編漫画『ゲンセンカン主人』の舞台として知られています。つげ義春が湯宿温泉に滞在した経験をもとに描かれた作品で、温泉街の寂れた雰囲気が色濃く反映されています。漫画の着想の元になった旅館は「大滝屋旅館」です。大滝屋旅館は建て替えられましたが、現在も接骨院併設の旅館として営業しています。

つげ義春は、1968年に高野慎三の勧めで湯宿温泉を訪れ、大滝屋旅館に宿泊。その体験が『ゲンセンカン主人』の制作につながりました。その後も何度か湯宿温泉を訪れ、その独特の雰囲気を愛したと伝えられています。つげは湯本館に宿泊した際には、立派な宿で寂しさを感じないことに少し残念に思ったようです。

高野慎三は湯沢温泉、川古温泉に宿泊した帰路に湯宿温泉に立ち寄り、その侘し気な情景に強く惹かれたといいます。そして、こここそが「つげ義春の世界」そのままだと感じ、つげに湯宿温泉を勧めたのです。

湯宿温泉は、歴史と文化が息づく、静かで心落ち着く温泉地です。つげ義春の作品に触れた方はもちろん、そうでない方も、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

もう一度検索