漠河市

漠河市（ばくが-し）

漠河市は、中華人民共和国黒竜江省大興安嶺地区に位置する県級市であり、中国の最北端に位置することで知られています。市人民政府は西林吉鎮に所在します。この地域は、中国最北端の村である「北極村」が存在することで有名であり、2008年には漠河古蓮空港が開港し、交通の便も向上しました。また、中国最北端の旅客駅である嫩林線漠河駅や、貨物駅の古洛線月牙湖駅など、鉄道インフラも整備されています。

地理

漠河市の南部を源流とする額木爾河は、北へ流れ、市街地を通過した後、東へ向きを変え、広域市の東部でアムール川（黒竜江）に合流します。この河川は、地域の地理的な特徴を形成する上で重要な役割を果たしています。

歴史

1888年（清朝の光緒14年）に老溝で金鉱が発見されたことが、この地域の人口増加のきっかけとなりました。1908年（光緒34年）8月5日、漠河直隷庁が漠河に設置されることが決定しましたが、辺境の地であったため、整備は徐々に行われました。1909年（宣統元年）、清朝は漠河総卡官を漠河に設置し、洛古河、訥欽哈達、漠河、烏蘇里、巴爾嘎力、額木爾、開庫康、安羅卡倫を管轄しました。総卡官は翌年6月7日に地方行政を統括することとなり、璦琿兵備道に属しました。

中華民国成立後、1914年（民国3年）5月8日に漠河設治局が新設され、黒河道に属しました。1917年（民国6年）1月1日には漠河県に昇格し、県庁は漠河街に設置されました。県域は2つの行政区に分けられ、下部には21の村屯が置かれました。1929年（民国18年）2月の道制廃止に伴い、黒竜江省の直轄となりました。

1932年（大同元年）、満州国が成立すると、黒竜江省の管轄となりましたが、1934年（康徳元年）12月には新設された黒河省に移管されました。1945年（民国34年）に日本の敗戦と満州国の崩壊により中華民国が施政権を回復しましたが、国共内戦が激化したため、中国共産党の解放区となり、呼瑪県は黒竜江省の管轄となりました。1947年（民国36年）3月には漠河県が廃止され、呼瑪県に編入、黒河専区の管轄となりました。1981年5月14日、呼瑪県北部の漠河・興安の2つの人民公社と、大興安嶺地区所轄の阿木爾・図強・古蓮の3区を合わせた地域を以て漠河県が再設置され、大興安嶺地区の管轄となりました。2018年2月には県級市に昇格し、漠河市として現在に至ります。

気候

漠河市の年平均気温は-3.9℃と、中国で最も寒い地域です。1月の平均気温は-28.2℃で、2023年1月22日には-53.0℃という中国国内の最低気温記録が観測されています。7月の平均気温は18.3℃、最高気温極値は39.3℃、年間降水量は452.1mmです。このように、非常に寒暖の差が激しい気候となっています。

行政区画

漠河市は、以下の6つの鎮を管轄しています。

西林吉鎮（せいりんきちん）
図強鎮（ずきょうちん）
阿木爾鎮（あもーるちん）
興安鎮（こうあんちん）
北極鎮（ほっきょくちん）
古蓮鎮（これんちん）

林業

漠河市は、体制上西林吉林業局と一体化しており、政府と企業が統合された形になっています。市内には、西林吉林業局、図強林業局、阿木爾林業局という3つの中央直属の林業企業があり、さらに古蓮河煤鉱（炭鉱）と漠河発電廠（発電所）という2つの大型企業が存在します。これらの企業は、地域の経済を支える重要な役割を担っています。

交通

航空

漠河古蓮空港

鉄道

1972年に漠河駅への鉄道が開通しました。ハルビン、チチハル、瀋陽への列車が運行されています。

中国国家鉄路集団
中国鉄路ハルビン局集団公司

富西線（ジャグダチ方面） - 長纓駅 - 阿木爾駅 - 朝暉駅 - 図強駅 - 育英駅 - 漠河駅 - 古蓮駅

道路

省道207号線
省道209号線

健康・医療・衛生

漠河市人民医院

出身者

遅子建（ち しけん） - 小説家

関連項目

酸菜
ハルビンビール
東北菜
アムール川（黒竜江）
松花江
松嫩平原
小興安嶺山脈
亜寒帯冬季少雨気候
闖関東
外満洲
アイグン条約（ネルチンスク条約）
北京条約
在瀋陽日本国総領事館（管轄区域：遼寧省（大連市を除く）、吉林省、黒竜江省）

外部リンク

漠河市人民政府

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