烏帽子岳 (飛騨高地)

烏帽子岳（えぼしだけ）

岐阜県高山市と郡上市にまたがる飛騨高地の標高1,625.2 mの山、烏帽子岳。

概要

約160万～110万年前のカラブリアン（前期更新世後半）に活動していた複成火山「烏帽子・鷲ヶ岳」の一部で、安山岩溶岩や降下火砕物から形成されています。長い年月を経て火山活動は休止し、周辺河川の侵食により火口などの火山地形はほとんど見られません。山名は、南麓の郡上市気良や二間手などから見た山容が烏帽子に似ていることに由来します。

1586年の天正地震では、帰雲山の崩壊とともに、烏帽子岳東麓でも大規模な地すべりが発生し、西俣川を堰き止めて天然ダムを形成、集落が水没しました。この災害は「水沢上地すべり」として知られています。また、宇治川の戦いに登場する名馬「磨墨」は、この山の南麓が産地であるという説があります。

山頂には二等三角点「奥住」（標高1,625.20 m）が設置され、北東1.2 kmの稜線には四等三角点「床辺山」（標高1,552.48 m）があります。北麓は「めいほう高原」として知られ、スキー場、キャンプ場、牧場などのレジャー施設があります。また、「ぎふ百山」の一つにも選定されています。

登山

烏帽子岳は一般的な登山ルートが整備されておらず、無雪期は藪を漕いで登頂する必要があります。しかし、積雪期にはめいほうスキー場のリフトを利用して、山スキーや雪山登山を楽しむことができます。

地理

飛騨高地の南部に位置し、山頂の南0.6 kmには標高1,595 mのピーク「気良烏帽子岳」があります。一色川を挟んで鷲ヶ岳と対峙し、鷲ヶ岳の東2.5 kmに位置しています。

周辺の山

周辺の峠

山中峠 - 北側の稜線上の鞍部、標高約1,300 m、山頂の北東3.8 km
大洞峠 - 南側の稜線上の鞍部、標高約1,140 m、山頂の南南西5.3 km

河川の源流

烏帽子岳は、庄川と長良川の支流の源流となる山です。これらの河川はそれぞれ日本海側の富山湾と太平洋側の伊勢湾へと流れ、木曽川水系における日本海側と太平洋側の分水嶺となっています。また、吉田川（木曽川水系の長良川の支流）の源流でもあります。

一色川 - 庄川の支流
西俣川、気良川 - 吉田川の支流

交通・アクセス

山域の東側には国道472号、北側には岐阜県道452号惣則高鷲線が通り、西側には東海北陸自動車道が走っています。

鉄道：JR高山本線飛騨宮田駅から西21 km、長良川鉄道越美南線美濃白鳥駅から東北東13.5 km
自動車：東海北陸自動車道高鷲インターチェンジから東10.7 km

周辺施設

めいほうスキー場 - 北東斜面にあるスキー場
一色国際スキー場 - 北側（2007/2008シーズン閉鎖）
飛騨共同模範牧場 - 山域の北側
郡上市営水沢上牧場 - 北東山麓（夏季はスキー場ゲレンデで牛の放牧）
めいほう高原音楽の森 - 北東山麓に遊歩道
めいほう高原野外音楽堂 - スキー場南東隣接（「ソノラシアター」にて夏に音楽祭開催）
明宝温泉 湯星館 - 東山麓

烏帽子岳の風景

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烏帽子岳からの眺望

残雪期の山頂からは、北アルプス、御嶽山、中央アルプス、白山などの山々を望むことができます。

脚注

注釈

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出典

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参考文献

岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
徳久球雄（編集） 編『コンサイス日本山名辞典』（修訂版）三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年11月。ISBN 9784398757838。

関連項目

烏帽子岳（同名の山）
日本の山一覧 (高さ順)
めいほうスキー場
* 吉田川 (郡上市)

外部リンク

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