特殊簡易公衆電話

特殊簡易公衆電話（ピンク電話）とは

特殊簡易公衆電話、通称「ピンク電話」は、主に飲食店などの店舗内に設置される公衆電話サービスです。店舗運営者が設置し、料金を回収する仕組みで、NTT東日本・NTT西日本が運営しています。特徴的なピンク色の筐体からこの愛称で親しまれています。

概要

2000年代以降、不採算の公衆電話撤去が進む一方で、公共施設などで設置されるケースが増えました。店舗運営者が料金を回収し、電気通信事業者から基本料金や通話料金が請求される仕組みです。通話料金は公衆電話料金が適用されます。ピンク電話からはPHSへの通話はできず、携帯電話やスマートフォンへの通話も制限されている場合があります。また、NTT東日本・NTT西日本のナビアクセスは着信しても発信側の声が相手に聞こえない仕様です。

歴史

昭和30年代、電話の普及に伴い公衆電話の需要が増加しましたが、赤電話や青電話が不足しました。この状況を背景に、飲食店などで黒電話に料金箱を取り付けた「貸電話」が登場しました。しかし、不正利用や料金トラブルが多発したため、電電公社の職員が、加入者以外は市外発信できない電話機のアイデアを考案し、1959年に初の特殊簡易公衆電話機、ピンク電話が誕生しました。

1953年からあった料金手渡し式の店頭設置公衆電話は、電気通信省が所有する電話機を委託した「委託公衆電話」と、一般の加入電話を店頭に出した「簡易公衆電話」の2種類がありました。委託公衆電話は後に硬貨投入式の赤電話となり、簡易公衆電話はピンク電話へと移行しました。当初はレンタルが主流でしたが、1985年の端末設備自由化以降は買取またはリースが一般的になりました。

PSTNマイグレーション

2024年1月に公衆交換電話網（PSTN）がNGNへ移行しましたが、ピンク電話は当初サービス終了が予定されていたものの、需要や技術の流用可能性からサービス継続が決定しました。

重複して契約できない電話サービス

ピンク電話は、硬貨収納等信号送出機能と一部の電話サービス（マイラインプラス、テレホーダイ、キャッチホン、ボイスワープ）との重複契約ができません。PSTNマイグレーション後の仕様は検討中です。

主な電話機

初期型ピンク電話

ダイヤル式で10円硬貨のみ使用可能。市内通話のみ対応。市外通話や無料通話先へは専用の「KS鍵」で切り替える必要がありました。1960年にレンタル開始、1972年にレンタル終了。

大型ピンク電話

ダイヤル式で10円硬貨のみ使用可能。無料通話先への発信には鍵操作が必要でしたが、後に携帯電話やスマートフォンへの接続が鍵操作なしで可能になりました。1972年の「広域時分制」に対応するため開発され、レンタル提供後、民営化後は販売。2004年に生産終了、2005年に販売終了。

ボタン式ピンク電話

10円・100円硬貨が使用可能。緊急通報ボタンを装備し、110番・119番への迅速な通報が可能。無料通話先への発信は鍵操作不要。1985年に販売開始、2005年に販売終了。鹿鳴館では、木製筐体を加装したレトロな雰囲気のモデルも販売されました。

テレホンカード専用ピンク電話

テレホンカードのみ使用可能。設置者の料金回収の手間が少ない反面、不正使用が問題視されました。1989年にレンタル開始、2005年に新規契約受付終了、2023年12月にレンタル終了。

Pてれほん

1990年代から販売された新しいピンク電話機で、10円・100円硬貨が使用可能。ダイヤルトーンファースト方式を採用し、KS鍵なしで110/119への発信が可能。様々なモデルが販売されました。

Pてれほん（PT1）: 緊急通報用ボタン、液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんW（PT2）: 緊急通報用ボタン、壁掛け型、液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんII（PT12）: 液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんIII（PT13）: 液晶ディスプレイ付き。販売終了。
コードレスPてれほん（PT3 TEL）: コードレス子機、液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんE（PT4 TEL）: 外部電源不要。販売終了。
PてれほんF（PT51 TEL）: 外付け電話機端子、液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんDCL: デジタルコードレス子機、ナンバーディスプレイ対応、ファクシミリ接続対応。2003年1月販売終了。
PてれほんS: ナンバーディスプレイ・ファクシミリ接続対応。2004年3月販売終了。
PてれほんC: 小型筐体、プッシュ式ボタン、液晶ディスプレイ、ダイヤルライト付き。2009年10月販売終了。
PてれほんCII: 小型筐体、プッシュ式ボタン、液晶ディスプレイ、ダイヤルライト付き。

関連項目

公衆電話
日本の公衆電話
委託公衆電話
ターミナルアダプタ（ピンク電話接続用）
ピンクの電話（女性お笑いタレント）

展示施設

門司電気通信レトロ館
NTT技術史料館

外部リンク

* ピンク電話 - Web116.jp

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