王遵

王遵（おう じゅん）

王遵（おう じゅん）は、中国史に複数存在する人物の名前である。

王遵（琅邪王氏）

琅邪王氏の王遵。字は伯業。王崇の子で、王音（『新唐書』唐宰相世系表十二中では、その子の王仁と同人物とする）の父。後漢の光武帝に仕えて、中大夫となり、義郷侯に封じられた。

王遵（明の進士）

明代の進士。字は子法。順慶府南充県（現在の四川省南充市高坪区）の人。

王遵 (楽浪太守)

王遵 (楽浪太守)（おう じゅん、生没年不詳）は、新代から後漢時代にかけての武将。楽浪郡の「楽浪太守」。

王遵 (前燕)

王遵 (前燕)（おう じゅん、生没年不詳）は、楽浪郡出身の五胡十六国時代の前燕の人物。

王遵（新末後漢初の武将・政治家）

王遵（おう じゅん、生没年不詳）は、新代から後漢初期にかけての武将・政治家。字は子春。司隷京兆尹覇陵県の人。父は上郡太守で、諱は不明。

事跡

隗囂の腹心として

新末後漢初の群雄の一人、隴右に勢力を張った隗囂の陣営に属し、地皇4年（23年）における挙兵当時からの配下であった。王遵は若い頃から侠気と弁才で知られ、漢朝の復興とそれへの帰属を願っていた。漢復元年（23年）7月に隗囂が郡国に発した漢朝復興の檄においても、王遵は明威将軍として名を連ねている。

漢復2年（24年）、隗囂が更始帝の招請に応じて長安入りすると、王遵も同僚の周宗とともにこれに随従。更始3年（25年）夏、淮陽王張卬らによる更始帝への兵変に隗囂も関与したが、露見。隗囂は更始帝からの召喚を拒否して自邸に立て籠もった。王遵・周宗は協議を重ね、隗囂らは包囲を突破して隴右へ帰還した。

その後、隗囂は光武帝陣営に加わった。光武帝配下の来歙は王遵と交友し、王遵も来歙に敬意を払った。建武6年（30年）、来歙が隗囂を訪問し、蜀の公孫述討伐への従軍を迫ったが、公孫述への傾斜を強めていた隗囂は拒否。来歙は憤り、隗囂を問い詰めて刺そうとしたため、隗囂が兵を呼び集めると、来歙は節杖を地に突いて退出した。

怒った隗囂は来歙を殺害しようとしたが、王遵は「来歙は光武帝の親族であり、使者を斬ってはいけない」と諫めた。結局来歙は無事帰還し、隗囂は光武帝と決裂して公孫述側についた。

漢への降伏と厚遇

建武7年（31年）、光武帝の命を受けた来歙が王遵を招聘。隗囂が再三の諫言を採用しないことに失望していた王遵はこれに応じ、家族とともに洛陽を訪れた。王遵は太中太夫に任命され、向義侯に封じられた。

建武8年（32年）春、光武帝は隗囂征伐に向かい、王遵に符節を持たせ、長安の留守をつとめる大司馬呉漢を監督させるという破格の待遇を与えた。同年、王遵が隗囂配下の旧友である牛邯に投降を促す書面を送ると、牛邯もこれに応じて洛陽を訪れ、漢に降伏。これをきっかけに、隗囂に所属していた13人の大将・16県・10数万の兵士が続々と漢に降った。

これ以降、王遵の名は史書に見えない。

脚注

参考文献

『後漢書』列伝3隗囂伝 列伝5来歙伝

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