現代音楽協会

現代音楽協会（ACM）とは

現代音楽協会（ACM）（ロシア語: ACM - Ассоциация Современной Музыки、英語: ACM - Association for Contemporary Music）は、ソビエト連邦時代に存在した作曲家グループです。1920年代から1930年代初頭にかけて、ソ連の音楽界において重要な役割を果たしました。実験的で革新的な音楽を追求し、西ヨーロッパの現代音楽の紹介にも力を入れました。

設立と初期の活動（1923年～1932年）

1923年、ニコライ・ロスラヴェッツによって設立されたACMは、アレクサンドル・モソロフ、ニコライ・ミャスコフスキー、ヴィッサリオン・シェバリーン、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ、ガヴリイル・ポポーフ、ウラディーミル・シチェルバチョフ、レオニード・ポロヴィンキン、ウラディーミル・デシェヴォフ、フセヴォロド・ザデラツキー、ジョセフ・シリンガーなど、当時を代表する作曲家たちが集いました。

ACMの目標は、実験的かつ革新的な技術と音楽語法を駆使してソビエト連邦の音楽を発展させることでした。しかし、同じ年に設立されたロシア・プロレタリア音楽家同盟（RAPM）とは、音楽の役割に関する根本的な見解の相違から激しく対立しました。RAPMは音楽が大衆のためのものでなければならないという社会主義イデオロギーを主張し、ACMの音楽の自律性という思想を批判しました。

ACMは、機関誌『現代音楽』や『音楽新聞』などを発行し、自らの音楽思想を広めました。また、国際現代音楽協会（ISCM）と緊密な関係を築き、バルトーク・ベーラ、パウル・ヒンデミット、ダリウス・ミヨー、フランシス・プーランク、エリック・サティ、クロード・ドビュッシー、モーリス・ラヴェル、アルノルト・シェーンベルク、アルバン・ベルク、アントン・ヴェーベルン、エルンスト・クルシェネク、グスタフ・マーラーといった西ヨーロッパの現代作曲家の作品を積極的に紹介しました。ISCMの音楽祭では、ロシアの作曲家の作品も紹介し、1923年と1924年にはセルゲイ・プロコフィエフ、1925年にはサムイル・フェインベルク、1926年にはミャスコフスキー、1927年と1930年にはモソロフ、1931年にはレフ・クニッペルの作品が演奏されました。

1927年には、十月革命10周年記念コンサートを開催し、ショスタコーヴィチの『交響曲第2番』、モソロフの『鉄工場』、ロスラヴェッツのカンタータ『十月』、ポロヴィンキンの『プロローグ』などが演奏されました。これらの作品は、当時のACMの革新的な音楽性を象徴するものです。

しかし、1928年から1932年にかけて、ACMはRAPMからの圧力や政府の政策変更により困難な状況に直面しました。1929年には機関誌『現代音楽』が停刊し、1931年にはミャスコフスキーとシェバリーンが、学生作曲家創造集団（Prokoll）のカバレフスキーとともに新団体の設立を提唱しました。1932年4月23日、共産党中央委員会は「文学と芸術団体の再編に関する決議」を発表し、既存のすべての組織は解散され、党の直接の指導下に置かれることになりました。これにより、ACMとRAPMは解散し、新たにソビエト連邦作曲家同盟が設立されました。しかし、この作曲家同盟ではRAPMの路線が採用され、社会主義リアリズムが公式の方針とされました。ACMの活動は、この時点で終焉を迎えることになりました。

新現代音楽協会（ACM-2）

ACMは、1990年にモスクワで復活しました。エディソン・デニソフが議長に選ばれ、エレーナ・フィルソヴァ、ディミトリー・スミルノフ、ニコライ・コルンドルフが共同設立者となりました。その他のメンバーには、アレクサンドル・ヴスティン、ヴラディスラフ・シューチ、ヴャチェスラフ・アルチョーモフなどがいました。ACM-2は、国際現代音楽協会（ISCM）に加盟し、活動を再開しました。

しかし、1991年にソ連が崩壊すると、多くのメンバーが西側に移住し、1996年にはデニソフが死去したため、ACM-2は二つに分裂しました。一つは、ロシア作曲家同盟を基盤とする「国際現代音楽協会ロシア支部」（RNS-ISCM）で、モスクワ現代音楽アンサンブルを運営しています。もう一つは、モスクワ音楽院を基盤とする「モスクワ現代音楽センター」（CCMM）で、ISCMの準会員組織であり、新音楽スタジオを運営しています。

ACMの遺産

ACMは、短期間の活動ではありましたが、ソ連の音楽史において重要な足跡を残しました。実験的な音楽への探求、西ヨーロッパの現代音楽の紹介、そして、社会主義リアリズムとは異なる音楽のあり方を模索したACMの活動は、後の世代の作曲家たちに大きな影響を与えました。また、ACMの活動を通じて生まれた作品群は、現在でも重要なレパートリーとして演奏され続けています。

参考文献

Frans C. Lemaire, Le destin russe et la musique, Fayard, 2005. ISBN 2-213-62457-7
Nelson, Amy (2004). Music for the Revolution: Musicians and Power in Early Soviet Russia. Pennsylvania State University Press. ISBN 0-271-02369-4

外部リンク

RNS-ISCM page
CCMM page

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